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8月は負けなし!ウエスタン・リーグ新記録の14連勝を達成《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ファームで2戦2勝の、防御率0.52の高橋遥人投手。1軍での登板が楽しみです!

 7月30日のオリックス戦から8月26日のオリックス戦まで13連勝していた阪神ファーム。ソフトバンクに勝って21年ぶりの10連勝となったのは8月21日のこと。翌22日は延長の末0対0で引き分けたけれど、24日のオリックス戦で球団記録の10連勝を超え、2日後の26日にはウエスタン・リーグ最多記録の13連勝に並びました。

 この間の戦いについては、こちらの記事でご覧ください。→<リーグ最多タイの13連勝と2000年&2018年の連勝を振り返る>

 そして迎えた31日の広島戦、阪神は序盤から打線がつながり、5回までに12点を奪って圧勝!ウエスタン・リーグの最多記録を6年ぶりに更新する14連勝を達成しました。しかも8月は負けなしです。中止が多かったとはいえ、それで空いた間隔をもろともせず勝ち続けました。大したものですねえ。

 ファーム記録となると、イースタン・リーグの巨人が1999年に15連勝していて、これが最多です。2016年にも巨人は14連勝があります。また今季、ロッテも記録しているんですよね。3月25日の日本ハム戦から4月20日の楽天戦まで、引き分けなしで14連勝!翌日、楽天に1点差で敗れてリーグ最多タイの15連勝はならず、でした。

 さあ、きょうファームの記録に並ぶのか?鳴尾浜でのウエスタン・広島戦は西純矢投手と矢崎拓也投手の投げ合いです。

リーグ新記録の14連勝

 では、14連勝となった31日の試合を振り返りましょう。先発の高橋遥人投手は、これが“卒検”となったんじゃないですかね。それから、この日はマルテ選手と小幡竜平選手が1軍に昇格、前日に登録を抹消された山本泰寛選手と熊谷敬宥選手がスタメン。この2人がいい仕事をしていますよ。

 また1軍から参加した原口文仁選手は2回、先頭で放ったヒットが得点につながりました。久々のファーム参戦で連勝がストップしなくてホッとしたでしょう。

 なお2ケタ得点は今季4度目で、最多は7月4日のオリックス戦(オセアン)の14点です。2ケタ安打はこの日の13本を含めて、今季39度目。優勝した2018年でも115試合で40度だったので、これは超えそうな感じですね。ちなみに今季の1試合最多は6月6日の中日戦(ナゴヤ)と7月4日のオリックス戦の17安打でした。

《ウエスタン公式戦》8月31日

 阪神-広島 21回戦 (鳴尾浜)

  広島 000 000 100 = 1

  阪神 040 260 00X =12

◆バッテリー

 【阪神】○高橋(2勝)-尾仲-岩田稔-守屋-石井将 / 榮枝-藤田(8回~)

 【広島】●遠藤(1勝3敗)(4回)-山口(1/3回)-田中法(2回2/3)-今村(1回) / 磯村-持丸(8回裏)

◆本塁打 広:磯村3号ソロ(岩田稔)

◆三塁打 神:板山

◆二塁打 神:熊谷2、榮枝、長坂 広:高橋大

◆打撃     (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

 1]中右:江越 (4-1-1 / 1-2 / 0 / 0) .230

 2]右遊:熊谷 (5-2-5 / 1-1 / 0 / 0) .269

 3]三一:板山 (4-1-3 / 0-1 / 0 / 1) .257

 4]一:陽川  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .269

 〃走左中:奥山(1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .294

 5]指:原口  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .125

 〃打指:長坂 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .220

 6]左:高山  (3-2-0 / 0-2 / 0 / 0) .210

 7]遊三:山本 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .298

 8]捕:榮枝  (2-2-2 / 0-1 / 0 / 0) .256

 〃捕:藤田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .139

 9]二:遠藤  (3-2-1 / 1-2 / 0 / 0) .212

◆投手     (安-振-球/失-自/防御率) 最速

 高橋 5.1回 76球(1-5-2 / 0-0 / 0.52) 149

 尾仲 0.2回 9球(0-1-0 / 0-0 / 1.59) —

 岩田稔 1回 21球(2-0-1 / 1-1 / 2.08) 144

 守屋  1回 12球(0-0-0 / 0-0 / 4.99) 147

 石井将 1回 13球(0-0-1 / 0-0 / 1.83) 138

     ※“球”は四球と死球の合計

2打席連続のタイムリー二塁打などで5打点の熊谷選手。2月の安芸キャンプでの写真です。
2打席連続のタイムリー二塁打などで5打点の熊谷選手。2月の安芸キャンプでの写真です。

《試合経過》※敬称略

 まず阪神の攻撃から。1回は先頭の江越が内野安打で出るも、続く熊谷が送れず…後続を断たれて無得点でした。しかし2回、原口と高山の連打、山本の犠打で1死二、三塁となり榮枝と遠藤の連続タイムリー!その後、なおも2死二、三塁のチャンスで熊谷がレフトへのタイムリー二塁打を放って2点を追加。この回4点を先取します。

 4回は山本の四球と遠藤の内野安打などで2死一、三塁として、また熊谷が左中間へのタイムリー二塁打!6対0とリードを広げました。

 そして5回、広島2人目の山口から高山の四球と山本の左前打で1死一、二塁となり、榮枝が三塁線を破るタイムリー二塁打!さらに遠藤の四球で1死満塁として江越、熊谷が連続で押し出し四球を選び、1死満塁の場面で登板した田中法から板山が右中間へのタイムリー三塁打!走者一掃で、この回一挙6点を追加。12得点です。

 6回は高山の右前打と2四球で2死満塁とするも、ここは追加点なし。7回も2死から長坂が左翼線二塁打を放ち、高山も四球を選びますが無得点でした。9回は遠藤の四球のみで攻撃終了。3回を除く毎回の13安打と相手投手の計11四球により、12点を挙げています。

 変わって投手陣。高橋は1回が4球、2回は9球でともに三者凡退の立ち上がり。3回は先頭をサードのエラー(強襲安打かと思いましたが、記録は失策)で出し、1死後に9番・中神の左前打、続く中村奨への四球で満塁のピンチを迎えたものの、メヒアを三ゴロ併殺打に仕留めて無失点!4回はまた三者凡退、5回は先頭に四球を与えながらも後続を断ちました。

 5回を終えて73球、ここで交代するかと思われた高橋ですが、6回もマウンドへ。先頭の中村奨に対して2球ストライクで見逃し、最後は真っすぐで空振り!なんと3球で三振を奪って交代しました。そのあとは尾仲が二直と空振り三振、2人で片付けます。

 7回の岩田稔は1死から磯村のホームランを浴び、1点を返されました。2死後に高橋大の二塁打、宇草への四球で一、二塁とするも追加点は与えていません。そのあとは藤田がマスクをかぶって、8回は守屋が三者凡退に、9回は石井将が2死から四球と暴投でランナーを二塁に進めますが無失点。試合終了です。

試合にもライバルにも負けたくない!

 前日に登録を抹消された熊谷選手は、2打席連続の2点タイムリー二塁打と押し出し四球もあって2安打5打点!1回にバント失敗から三振したことを猛省しているとは思いますが、意地の見える打席でした。それにライトの守備も、6回から守ったショートでも安心感が増したような。今季はほとんど1軍にいますからね。

 同じく山本選手の守備も素晴らしかった!バントはきっちり決めましたし。そのあたりの話は、久しぶりにご紹介する平田勝男監督の談話にも出てきます。そして高橋遥人投手と榮枝裕貴選手のコメントもご紹介しますので、お待ちください。

 それからマルチ安打の遠藤成選手は2回に初球のカーブをうまくセンター前へ運び、4回はセーフティーバントをやはり初球で決めた内野安打です。直前の練習試合2つはショートを守って計3失策でしたが、この日は周りに刺激されたか、ライナーを好捕するなど積極的な動きだったように思います。

積極的に初球から打って2安打の遠藤選手。
積極的に初球から打って2安打の遠藤選手。

「うまい選手より強い選手に!」

 リーグ新記録の14連勝について平田監督は「本当にね、選手たちが集中力を8月ずーっと保ってくれた。選手たちの集中力」と話し、続けて「きょう上から来た2人にしても素晴らしいわな。もう一回また1軍でというね。ヤス(山本)のバントやファインプレーといい、タカヒロ(熊谷)も集中力を持ってチャンスでタイムリーといいね」と言いました。

 「このへんは落ちてきて何の問題もない。みんなの集中力の賜物だし。やっぱり、これから9月10月と1軍も勝負の月になってくるんでね。そこの中に、また呼ばれようという気持ちの表れ」

 イースタンの巨人が達成した15連勝がファームの最多記録だと聞き「イースタン?そこはさ、いいプレッシャーだよ。熊谷(のバント失敗)も1軍みたいなプレッシャーやん。やっぱりね、ファームとはいえ、こういうプレッシャーのかかるようなところじゃないと力はつかない。ピッチャーもそう。きょうは遥人でも、ランナー出したら4点差あっても気を使っているし」と平田監督。

 きょう先発の西純投手にも“勝てば15連勝”とプレッシャーをかけたと言います。「俺が目指すのは、来るなら来いっていうさ、こんなん見せどころやんっていうような強い選手。基本的には。うまい選手より強い選手よ!そしたら、どんどんどんどん1軍の勝負どころで、いい結果が出せるような選手になっていく」

 高橋投手の投球に関しては「球数が80前後ってとこだったんでね。まあ十分じゃない?本人はまだ納得しないって言うやろうけど。そのところの違いっていうのは(見えた)。きょうのカープ打線もいいんでね、遥人にとってはいいゲームになったと思うよ。最後の1人いくってところで狙って三振を取りにいったやろ?」という評価です。

 熊谷選手は降格即結果を出しましたね?「初回のバントはいただけないけど。きょうは榮枝、ヤス。榮枝はキャッチャーとしても頑張って、打つ方でもいいものを見せてくれている。すごく今、野球がおもしろいんじゃない?こういう1軍の経験あるピッチャーというか、ローテーションピッチャーの藤浪とか遥人とあえて組ませてやらせているので、勉強になっていると思うよ」

 ここで終わって去りかけた平田監督ですが、自らこう付け加えています。「(選手らが)大したもんだな。8月負けなしか。この前の練習試合に2つ負けて気合いを入れ直したんでね。きょうはそういった意味での集中力とかはね、やっぱり人間。気合、喝を入れないと、たまにはね」

 監督の言う、練習試合の結果はこちらでどうぞ。→<リーグ新記録の14連勝なるか!? の前に練習試合2つの結果>

好投でもまだまだ満足はしない

 次は高橋投手です。5回1/3、76球を投げて1安打無失点。6回の先頭打者まで投げたのは、5回で73球という球数を、メドにしていた80球に近づけるためだったようです。まず投球を振り返って「(実戦復帰後に)先発した3試合では、一番よくなかったかなと思います」というコメント。

 どの部分が?「まず真っすぐの質と、あとはランナーを背負ってからのピッチング。やっぱり真っすぐが悪くて慎重にいきすぎる分、ランナーが詰まっている中でのフォアボールって一番ダメだし。バッターの反応とか見ても、ストレートは自分がよくないと思っている通りの反応だったので、そういうところです」

 走者を出してからが課題?「慎重にいくのはいいんですけど、そこで際どいところに投げきれなかったっていうのが真っすぐだったので。変化球はそんなに悪くないんですけど、真っ直ぐで(ストライクを)取らなきゃいけないところでボールになったり、厳しくいかないといけないところで甘くなって打たれているので。それをなくさなきゃというか、それがよくなかったです」

 直球で詰まらせた打球もありましたが、それでも物足りない?「やっぱり、見逃しが取れてなくはなかったんですけど、追い込んでからの見逃しが少なかったし。丁寧に投げられたのと、あと榮枝がしっかり、いろんなボール使ってくれたんで結果的にゼロだったけど。3回とかちょっと窮屈だったんで。ランナー背負ってからの投球が課題かなと思います」

 求めているレベルはもっと高いということでしょうか?「最低限度のラインというのが自分の納得するところなので。そのラインにいっているところもあるんですけど、ムラというか波があるので。今日はそういった意味ではあんまり…。でも6回まで球速が落ちなかったのは収穫かなと。あと変化球は、もっと投げてもいいところで、あえて違うボールを試せたりしたのでよかったかなと思います」

写真は2018年の高橋投手です。
写真は2018年の高橋投手です。

1軍投手陣から学ぶこと

 榮枝選手は2回に先制の左前タイムリー、7回にも三塁線を破るタイムリー二塁打、あとは犠打と四球。2打数2安打2打点と貢献しました。

 「1打席目は内野ゴロでも外野フライでも1点入る場面だったので、三振だけはなしにしようと思って。フルカウントまで持ってきて、際どい球をうまくファウルにしながら最後はカーブを捉えて先制点を挙げられたのはよかったと思います。二塁打も、1本出て思い切っていけたのが、いい結果に繋がったのかなと」

 最近の調子は?「いい感じまではいかないですけど、安定して一日1本は打てるようにというのを目標にやっているので。前は“きょうは全然合っていないな”みたいな日も多かったんですけど、最近はいつも集中できた打席を送れているかなっていうのは、実感としてあります」

 高橋投手のリードで意識したことは?「広島打線がストレートを狙ってくるだろうと思っていたんですけど、その中できょうはストレートをあえて多めに使った。変化球でかわすだけじゃなくて。1軍に行ったらかわすだけじゃダメやと思うんで。ストレートを狙っているところに、ストレートを投げてファウルを稼いだりとか、打ち損じを誘ったりとか。きょうはストレートをどんどん投げて使ったというのはあります」

 以前の藤浪投手もしかり、投手陣から「榮枝のリードがいい」と評判みたいですね。「そう言ってくれるのはありがたいですけど、僕が座っている時に結構みんな、ちゃんと投げてくれるから。僕のリードというよりは正直ピッチャーがちゃんと投げてくれるんで…。ただ、それなりに考えを持ってやっているというのはあるので、そこは相乗効果で抑えられてるのかなと」

 1軍経験の多い投手と組んで学ぶことや気づいたことはありますか?「やっぱり1軍で投げているピッチャーの人たちは、自分が抑えられる組み立てをちゃんと持っていて、藤浪さんとも“ここはこうして、いつもこんな感じで抑える”ってのは毎回、組んだ時に話をします。2軍のピッチャーと組む時は(そんな)自分の引き出しで考えて。学ばせる?そんな上からじゃないです!一緒に見つけ出せたらいいかなと思ってやっています」

 最後に「僕まだ新人ですし、1軍の投手の時はまだ若干の躊躇というか、投げたい球を投げてもらおうという気持ちが多いんですよね。その中で自分の感じたことはちゃんと言うように。もうちょっとここ投げられたら幅広がりますよね?とか気づいたことは言って、それでまた意見交換したりしています」と話す榮枝選手。今はスポンジのように、すべてを吸収している最中でしょう。

板山祐太郎選手は満塁の走者を一掃する三塁打!5月以来の1軍へとアピールの日々です。
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連勝中だからこそできる経験

 最初に、ロッテがことし春先に14連勝したと書きましたが、そのロッテはイースタンの首位に座り続けています。でも阪神はまだ2位ですねえ。今、ウエスタン首位のソフトバンクは試合がなく、勝っても半ゲームずつしか縮まりません。でも相手も勝って差が変わらないよりは、少しずつでも“前進”している気がしていいかも?

 ソフトバンクは57勝32敗4分けで勝率が.640。阪神はきのう勝って55勝32敗6分けで、差は1ゲームとなりました。きょう9月1日と、あす2日も勝てば同率首位です。先日の記事にも書いたように、ここからがしぶとい…失礼、手強いのがソフトバンク。今のうちに追いつけたらいいですね。

 何度も言いますけど、優勝とか連勝記録ではなく、1軍の勝利に貢献したいというのが鳴尾浜で戦う選手たちの本音。とはいえ、こんなに負けなしで延々と続く緊張の日々が、選手にもたらす好影響は計り知れないでしょう。めったにない経験をしていると思います。そこから1軍へ行った選手たちの活躍も、また楽しみです。

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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