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阪神タイガース 新人合同自主トレ恒例の長距離走

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
12日に行われた新人選手の3000メートル走。まだ2周目とあって余裕の表情?

鳴尾浜で行われている新人合同自主トレは、きのう12日で第1クールを終了しました。初めての休日となる13日はのんびり…とはいきません。ルーキー5人は『NPB新人研修会』で東京へ行っています。戻ってきて、すぐ14日からは第2クールに突入。そろそろ疲れや体の張りも結構きているでしょうねえ。寒い中なので、ケガには要注意です。なお新人合同自主トレは今後、17日、21日、26日、31日がお休み。この日はスタンドも閉まっていますので、ご注意ください。

ルーキーズの3000m走

さて、きのう12日は屋外練習の締めにルーキーたちの長距離走が行われました。これは新人合同自主トレ第1クール最終日の恒例メニューです。ことしは昨年と同じく3000メメートル。ライトポールから出発して、1周350メートルのグラウンドを8周、プラス200メートルを走ります。

スタート時。既に前傾姿勢の植田選手(左端)と、逆に余裕の石崎投手(右端)
スタート時。既に前傾姿勢の植田選手(左端)と、逆に余裕の石崎投手(右端)
走り始めてすぐ、先頭の植田選手が先輩に「どうぞ前へ」と。私の想像です(笑)
走り始めてすぐ、先頭の植田選手が先輩に「どうぞ前へ」と。私の想像です(笑)
「そう?じゃあ遠慮なく」と前へ出る石崎投手。これも私の想像です。
「そう?じゃあ遠慮なく」と前へ出る石崎投手。これも私の想像です。
マイペースを維持する石崎投手。真ん中は笑顔(たぶん?)の江越選手。
マイペースを維持する石崎投手。真ん中は笑顔(たぶん?)の江越選手。
石崎投手がそろそろ後続を引き離すか。守屋投手、一時は2番手に上がるも…
石崎投手がそろそろ後続を引き離すか。守屋投手、一時は2番手に上がるも…

伊藤トレーニングコーチの説明を聞き、スタート地点に立った時、一番年下の植田選手がダッシュをする素振りでした。これはまあポーズだったかもしれませんね。

周回ごとの経過を書いておきましょう。敬称略です。まず1周目はポーズ通り?植田が先頭に。といっても差はほとんどなく、5人はだんご状態です。やがて石崎が先頭に立ち、横山が遅れ始めました。2周目では石崎、守屋、植田、江越、横山の順。3週目では植田が少しペースを上げて2番に戻ったものの、石崎はもはや独走態勢!どんどん差を広げます。4週目に守屋が江越に抜かれ、横山にも抜かれて、石崎、植田、江越、横山、守屋という並び。

石崎が離れすぎて先頭での周回確認もわかりにくくなってきましたが、5周目は石崎、植田、そのあとは江越を抜いた横山が3位、ついで江越、少し開いて守屋の順になります。6周目になると石崎、かなり離れて植田、ここも大きく開いて植田。横山と江越はほとんど差がなく、少し離れて守屋。そして7周目で先頭の石崎が最後尾の守屋に接近します。

8周目に入るところで、ついに守屋を捉えた石崎!そのあと横山を抜き、さらに江越をも抜いて3選手を周回遅れにしました。最後の9周目となる200メートルでも余裕の走りを見せた石崎がダントツでゴール。続いて植田、江越、横山、守屋という最終順位です。5人のタイムは以下の通り。

石崎 11分35秒

植田 12分50秒

江越 13分24秒

横山 13秒46秒

守屋 14分06秒

ちなみに石崎投手のラップタイムは(手元の測定ですので参考程度にご覧ください)、1周目から順に1分26秒、1分20秒、1分21秒、1分23秒、1分25秒、1分15秒、1分25秒、1分15秒だったそうです。素晴らしいペースですね。伊藤トレーニングコーチも絶賛でした。

伊藤コーチも絶賛の走りっぷり

「石崎の11分台はすごい。かなり有酸素運動も強いし、頼もしいという感じがしますね。最初に飛ばして途中でバテてしまう選手もいるけど、彼は最初から最後まで同じペースでいけた。一生懸命さを最後まで出せる選手ですね。走り方も安定していた。ペースが落ちないもん。そばで見ていた3年目までの選手も驚いていましたよ、走り方がいいって」

また5日間を終えた総括で「ケガなく第1クールが終了、よかったですね。5人とも地元でちゃんとトレーニングしてきたというのがわかるから、こちらも指導しやすい」と合格点を与えた伊藤コーチ。「このクールは、やってきたことの確認でしたが、第2クールは技術的なことになります。グラウンドでゴロ捕をしたり」

長距離走については「(合同自主トレでの)3000メートルは今回のみ。インターバル走やショートダッシュはやりますよ」とのこと。それと、これまでは同じように走っていた強化練習参加組の若手選手たちの長距離走もなし。ことしは新人選手だけのようです。キャンプではあるでしょう。

過去のタイムは、それぞれ年によって走る距離も違うため比較しにくいのですが、藤浪投手は新人だった2013年の3500メートルで13分56秒を記録。昨年の3000メートル走では13分58秒でした。そして昨年は新人で横田選手が12分20秒という、ずば抜けた数字を出したのも記憶に新しいところ。でも石崎投手は、それも軽く抜いてしまいましたね。横田選手の感想は後日またご紹介します。

石崎は「7、8割でした」と余裕

石崎投手のラップタイム平均は1分21秒25。後半もペースは落ちず。
石崎投手のラップタイム平均は1分21秒25。後半もペースは落ちず。

では石崎投手の話です。ぶっちぎりでした!という声に「そうですね。この前、ランニングが得意だと言ったから責任を感じて(笑)。しっかり1位でよかったです」と満足顔。ペースが落ちなかったのはすごい。「そうですね。普通は飛ばさないタイプなので。きょうは前半からいきましたが」。11分台はなかなかありませんよ。「嬉しいです!」

かなり目立ったでしょう。「やっぱり目立って名前を覚えてもらわないといけないので、自分をアピールして存在感を出していこうと思っていました」。大成功ですね。それにしても、余裕の走りだったような。「無理は全然していません。100パーセントではないですね。ゴールして倒れることもなく、7~8割でペースを保つことを考えていたので」。なるほど。

美しいフォームについて聞かれ「ランニングフォームもピッチングフォームにつながっている部分はあるので、何をやるにしても意識高くやっています」と答えた石崎投手。さすが社会人です。横山投手を抜く時には、何か声をかけていましたが。「きつそうだったので頑張れよと言いました。声を賭けたら彼も少し楽になるかなと思って」。昔から持久走は得意だったかという問いに「高校は一番速かったし、社会人でもチームで一番でした。きょうの1位は嬉しい」と再び笑顔が出ます。

第1クールを終え「体も、キャッチボールにしても今のところ順調にきているかなと思います。次は練習メニューも増えてきますが、これを継続していきたい」とのこと。ブルペン入りに関しては「第3クールにはしっかりと立ち投げに入りたいなと思っています。第2クールではキャッチボールの距離を伸ばして、球の精度も上げていきたい」と、具体的な方針を口にしました。

「速かった!抜けなかった」と植田

順位を上げた時は「きつかった」と言うものの、楽しそうに走っていた植田選手。
順位を上げた時は「きつかった」と言うものの、楽しそうに走っていた植田選手。

12分台で2着の植田選手。前日のシャトルランで好成績を披露し、伊藤コーチから「短距離もずば抜けていた」と高評価を得ていますが、その際に「長距離は苦手…」と言っていた割に速かった!「石崎さんについていこうと思って、ちょっと頑張りました。けっこう速く走れましたね」とホッとした表情。

2周目で3位にいったん落ちたけど、すぐに戻った?「はい。どこで上げようかと考えていて、ちょっと早めに離そうと。きつかった(笑)」。差がついてしまった石崎投手に「速かった!抜けなかった」と脱帽です。高校時代も、そんなに上位のタイムではなかったとか。「短距離が得意なので」。でも、いい記録です。自信持っていきましょう。

ようやく第1クール終了。疲れていますか?「けっこう下半身が重たいかなという感じがします。メチャクチャではないですけど。だからストレッチボールに乗ったりして、風呂上りにストレッチはするようにしています。ストレッチは高校時代も毎日、20分くらいやっていました」。次のクールは技術的なメニューも入ってくるので、アピールしないとね。「まだ…あんまり…。しっかりケガしないようにやりたいです」。常にニコニコと穏やかに笑いながら、控えめなコメントで締めました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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