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「いらすとや」きょう毎日更新終了 「ほとんど休みなく」働き限界 ファンから労り

岡田有花フリーランス記者
いらすとやのトップページより

あたたかみのあるイラストの数々が人気を集め、日本最大級のフリー素材サイトとなった「かわいいフリー素材 いらすとや」。きょう1月31日を最後に、毎日の更新が終了します

きょうはちょうど、「いらすとや」が10年目を迎える日これまで9年間、管理人のみふねたかしさんはイラストを描いては公開し続け、サイトを毎日更新してきたのです。

いらすとやに掲載されたイラストの累計は、2万5000点以上。9年×365日で割って1日当たりの掲載数を出してみたところ、平均7.6枚にもなりました。これを毎日やり続けてきたみふねさんには、頭が下がるばかりです。

今回、「体力的・精神的に限界を感じた」ため、2月1日からはいったん休み、その後は不定期更新にすると、みふねさんは1月25日に発表していました。サイト自体に変更はなく、既存の以上のイラストは従来通り利用できます。

1月25日に公開された告知より
1月25日に公開された告知より

いらすとやにお世話になっている人は、個人、メディア、企業、官公庁など非常に幅広く、みふねさんには「9年毎日更新していたなんて、すごい。頭が下がります」「とても社会貢献してくれたサイトだと思う」「お疲れ様です」「ゆっくり休んでください」などといたわる声がネットにあふれています

9年前「笑う赤鬼」でスタート 社会的ニーズに即対応

9年前の2012年1月31日、初めて公開したイラストは、節分用の「笑う赤鬼」だったそうです。

毎日地道に更新を続け、使いやすい素材がそろっているフリーのイラストサイトとして、人気を集めてきました。16年ごろには「タイムリーな時事ネタイラストがたくさんある」と、ネットで話題を集めましたが、時事ネタが注目されすぎ「楽しく描けなくなりそう」と、時事ネタを中断していたこともありました。

大きな地震が起きた際は、防災イラストを素早く公開したり、新型コロナウイルス感染症 流行で、マスクのイラストにニーズが高まると、マスクを着けた人のイラストや、既存の画像にマスクを重ねることができる素材を公開するなど、社会的ニーズの高いイラストをタイムリーに公開していました。

他のイラストに重ねられる「いろいろなマスクのイラスト」
他のイラストに重ねられる「いろいろなマスクのイラスト」

また、イラストは商用でも無料で利用でき(一部の利用形態を除く)、クレジットも不要など、きわめて自由度が高いことも特徴。やわらかいタッチとあいまって、「安心して利用できるイラスト素材」として、官公庁や自治体など公的機関が利用するケースも増えています。

ここ数年は知名度も上がり、企業とのコラボなども増えていました。例えば現在は、集英社の漫画「ONE PIECE」とのコラボイラストを公開しています。また、いらすとやの人物イラストが、TBSの動画ニュースのキャスターに“抜擢”されるなど、企業による新たなチャレンジも支えてきました。

「ここ数年はほとんど休みがなく……」

そんな中、みふねさんは1月25日、、毎日更新を1月31日で終了すると、サイトで告知しました。

ここ数年は他にもやることが増えてほとんど休みがなく、精神的にも体力的にも今のペースで全てをやり続けるのは難しい」と感じ、毎日の更新はやめることにしたそうです。

その後はサイトを不定期更新にして「無理のない範囲でいろいろと頑張りたい」とのこと。

毎日の更新が終わっても、既存の2万5000点以上のイラストは引き続き利用できます

お知らせでは、「ほとんどの方には関係のないことで恐縮です。急に更新が止まって誰かに心配をかけても悪いので一応報告でした」と書かれており、気遣いの深い優しい人柄が感じられます。

筆者もいらすとやのいちファンとして、みふねさんのご活躍を、これからも見守っていきたいと思います。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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