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「諦めるな」みずほATM休止、映画の予告編風に 個人制作の動画に反響、2日で200万再生

岡田有花フリーランス記者
みずほATM休止を“映画風”に表現した動画より

 「みずほで金が下ろせない?」「所持金720円か」「この3日間どう過ごせばいい?」……

 2月9日午前0時~12日午前8時にかけてみずほ銀行のATMが休止しており、ユーザーが現金などを下ろせない状態になっている。

 昨年7月のATM休止時には、休止を知らずに現金を引き出し忘れた「みずほ難民」がTwitterトレンドになるなど話題になった。今回のATM休止では、その状況をパロディ化し、洋画の予告編のように表現した動画が個人によってTwitterに投稿され、2日で200万回以上再生されるほど話題になっている。

 動画は1分18秒。みずほのATMが3日間利用できないことがニュースで報じられると、現金の奪い合い抗争が勃発。「どうして平日のうちに下ろさなかったの!?」と争う男女、「所持金720円か」「この3日間どう過ごせばいい?」と悩む男性……映像は次々に切り替わり、絶望感が増していく。と、そこに光が差し込む。「諦めるな」「まだ望みはある」「俺が行こう」――そこにゆうちょ銀行のクレジットカードを持った男性が現れ……

動画より
動画より
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 この動画は公開直後からみずほユーザーの共感を集めて大きな話題に。「正月のATM休止で、まさにこの状況になった」とつらい思い出を振り返ったり、「みずほユーザーだが気分が晴れた」と溜飲を下げたり、「笑った。みずほのATM休止の告知CMも、こういう動画にしてほしい」と述べる人など、さまざまな感想が出ている。

 動画を制作・公開した会社員のTakayuki a.k.a Sonさん(25)も、みずほがメインバンクだ。昨年9月のみずほATM休止時にはお金を下ろし忘れ、チャージが残っていたSuicaを使って実家にお金を借りに帰った経験があるという。「動画の中盤までは当時の苦しかった思いが強く反映されてます」(Takayukiさん)。

 Takayukiさんは大学時代に動画制作を始め、趣味で続けてきた。制作歴は6年になるという。今回の動画を作ったのは、今年1月、友人たちと「来月もみずほのATMが止まる、困ったねぇ」と話してた時、「お金が無いことで何もできなくなってしまう、という、何気ない日常が崩れ去っていく状況が、ディザスター・パンデミック系の映画に近いな」とひらめいたことがきっかけだ。

 当初は映画のポスター風のものを作るつもりだったが、「ストーリー要素入れた方が絶望感が伝わりそう」と思い、映像で展開することにしたという。構想から編集までは約5日。映像制作者向けのストックサービスなどから素材をつなぎ合わせたほか、一部の映像は自前で撮影し、構想から5日ほどで完成させた。

 完成した動画を、みずほATMが停止する前日、8日夜にTwitterに投稿したところ、想定を大きく超える反響が届いた。「もともとが思いつきのネタだったのですが、ここまでたくさんの方に観ていただけているのは本当に嬉しいし、その拡散力にも驚いています」とTakayukiさん。「コメントを見る限りかなり共感いただいてるようなので、本当に楽しんでいただけて良かったと思っています」と話す。

 ちなみに筆者もメインバンクがみずほ銀行だ。度重なるATM停止にイライラすることもあったが、この動画を見て笑い、少し気持ちが晴れた。

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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