トナカイさんへ伝える話(18)伊藤詩織さんがTIME誌「世界で最も影響力のある100人」に

9月23日、都内で行われた記者会見(筆者撮影)

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが、TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に、大坂なおみさんと共に選出。9月23日に都内で行われた記者会見で、気持ちを語った。

 選ばれた100人が紹介されているTIME誌の公式サイトでは、伊藤さんが2019年12月に民事訴訟に勝訴(※)した際の写真が使われ、また、伊藤さんの紹介文は東京大学名誉教授の上野千鶴子さんが執筆している。(※)被告側が控訴

TIMEの公式サイトより
TIMEの公式サイトより

 会見で伊藤さんは、上野さんが「Shiori Ito has forever changed life for Japanese women with her brave accusation of sexual violence against her harasser.」と書いたことに触れ、「(変化をもたらしたと評価されたが)私の中ではまだまだ変えていくべきところがある途中だと思っているので、でも確実な一歩が踏めたんだなという気持ちになりました」と話した。

 また、「まだまだ変えていくべきところ」を聞かれ、性犯罪刑法の改正などについて言及した。伊藤さんが最初に記者会見を行ったのは2017年5月。その翌月、性犯罪刑法が110年ぶりに大幅に改正され、7月から施行された。#metooは、この年の秋頃からの動き。偶然か必然か、伊藤さんのアクションと国内外の運動が重なるかたちとなり、性暴力被害者が声を上げる大きなうねりとなった。

「2017年に声を上げたとき、ちょうど刑法改正されるかされないかというときで、その後されたんですけど、大きく変わってほしいところが変わらなかった」

「(日本では)不同意性交がレイプということになっていない。暴行・脅迫要件が残ってしまっていて、(被害者が暴行や脅迫があったことを)証明しなければ認められないことになってしまっている」

 2017年の改正時に必要があれば更なる見直しを検討するとされ、改正から3年にあたる今年、森まさ子前法務大臣のもとで新たな検討会が設けられることが決定した。現在、司法関係者や支援者などが参加する検討会が続いている。

 伊藤さんは、「同意について刑法に入れていただきたい」と話すとともに、教育でも性的同意が教えられていない状況について「相手のことを考える教育を」「(同意について)勉強しないできてしまった私たち大人もアップデートしていかなければいけないと思います」と話した。

ワアド監督を「現場から当事者として伝える人」

 「選ばれた100人の中で影響を受けた人は?」という質問については、同じ「PIONEERS」カテゴリで選ばれた、シリアのワアド・アル=カデブ監督の名を挙げた。ワアド監督のドキュメンタリー映画『娘は戦場で生まれた』は今年、日本でも公開されている。

 ワアド・アル=カデブ監督「TIME」公式サイトより
ワアド・アル=カデブ監督「TIME」公式サイトより

「セルフドキュメントで、あの状況をどう乗り越えたか(を撮影している)。本当に尊敬していて、彼女の名前を見てうれしかった」

 ドキュメンタリー制作を通してワアド監督と交流があるとも言い、「現場から当事者として伝える人」が選出されたことについて喜びを見せた。

 伊藤さんが現在取材中のテーマを聞くと、「最後に海外に行ったのが(シエラリオネなどで今も続いている)女性器切除についての取材」。コロナ禍で海外渡航がままならないため、今は「日本国内でできる取材を」と、視覚障害のある人のドキュメンタリーの撮影などを行っていることを明かした。

 取材を行っている縁から、この日の記者会見も、ダイバーシティを体感できる施設「ダイアログ・ミュージアム 対話の森」で行われた。

 ※記者会見の様子は上記までです。以下の有料部分は、私の個人的な感想などです。

この記事は有料です。
トナカイさんへ伝える話のバックナンバーをお申し込みください。

バックナンバーの購入

サービス名

トナカイさんへ伝える話のバックナンバー2020年9月サンプル記事

小川たまか

価格

550(記事4本)

2020年9月号の有料記事一覧

すべて見る

これまで、性犯罪の無罪判決、伊藤詩織さんの民事裁判、その他の性暴力事件、ジェンダー問題での炎上案件などを取材してきました。性暴力の被害者視点での問題提起や、最新の裁判傍聴情報など、無料公開では発信しづらい内容も更新していきます。

注意事項
  • 購入後も記事の提供を中止させていただく場合があります。

    注意事項」を必ずお読みいただき同意のうえ、ご購入ください。

  • 購入後に記事が表示されない場合はページを再度読み込んでください。

初の単著『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)発売中。ライターです。主に性暴力、働き方、教育などの取材・執筆をしています。カウンセラーではないので、ケアを受けていない方からの被害相談は基本的に対応できません。お仕事、講演のご依頼は、info.mapt7@gmail.com ※スタッフが対応します。NAVERまとめへの転載お断り。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

  1. 1
    なぜ、わざわざ商品を送るのか?実は新手だった偽ダイソン詐欺サイトの手口!謎の種送り付けとの共通点も。多田文明10/24(土) 9:00
  2. 2
    自作の偽「フェンダー」ギターをネットで販売…分かって買った人は処罰される?前田恒彦10/24(土) 9:05
  3. 3
    <朝ドラ「エール」と史実>「人々の再起を願って長調に…」本当は原作者に会わず作曲された「長崎の鐘」辻田真佐憲10/23(金) 8:14
  4. 4
    寒気南下に伴う筋状の雲と台風17号の雲、台風18号になりそうな雲饒村曜10/24(土) 4:00
  5. 5
    岡村隆史さんの結婚と風俗発言と予期されていた深刻な女性の貧困問題藤田孝典10/23(金) 5:00
  6. 6
    相次ぐ突然の保育園「閉園」 なぜ行政は止めることができないのか?今野晴貴10/23(金) 12:07
  7. 7
    Deepfakesで68万人をヌードに変換、ネットで共有平和博10/23(金) 8:11
  8. 8
    問われる引き出し屋の自立支援(1) 脱走者が「捕獲」される町で加藤順子10/24(土) 8:00
  9. 9
    <朝ドラ「エール」と史実>「鐘の鳴る丘」成功と復活の真相。実際の古関裕而は戦後すぐ活動再開していた?辻田真佐憲10/21(水) 8:15
  10. 10
    コロナ禍で響くジョジョ作者の言葉「自分を信じてマンガを描き続けることが使命」石井志昂10/23(金) 12:00