ロシアの侵略で始まったウクライナとの戦争では、お互いに航空優勢の獲得ができない状態に陥り、地対空ミサイルの脅威に怯えて航空機はレーダーに見つからないように超低空を飛ぶ運用を強いられています。戦場で低空を駆け回るSu-25攻撃機が多く目撃され、そして攻撃ヘリコプターも低空を飛ぶ様子が確認されているのですが、攻撃方法が独特なものとなっています。

「空飛ぶ砲兵」による遠隔攻撃

 本来ならば降下しながら敵に接近して発射するロケットランチャーを、逆に低空から上昇している最中に発射して「斜め上」に撃ち上げて、ロケット弾を曲射弾道で飛行させて遠くの敵を攻撃する戦法です。開戦して早い時期からロシア軍とウクライナ軍の双方が行っているので、おそらくソ連軍時代からのマニュアルにある攻撃方法のようです。攻撃ヘリコプターだけでなく輸送ヘリコプターや、固定翼機のSu-25攻撃機が行っている場合も確認されています。

動画紹介:攻撃ヘリの遠隔攻撃の熱源映像(発射から着弾まで)

 このロシア軍の攻撃ヘリコプターの動画は時期や場所の詳細が不明ですが(テレグラムの投稿ではウクライナ東部のドンバス方面とのこと)、サーマル映像(熱源映像)なのでロケット弾の飛翔する様子が発射から着弾まで全て熱源として映っています。バラけながら上昇し飛んで行った多数のロケット弾が、弾道を描きながら頂点を過ぎた後に下降して着弾する様子です。

 歩兵携行地対空ミサイルに狙われやすい接近しての攻撃を避けるべく遠くから攻撃する戦法です。当然ですが命中精度は大幅に悪くなります。

 なお機体を上昇させていく間は高度が上がっていき目立ってしまうので、この瞬間を敵に狙われることを警戒してフレア(囮熱源)を放出しながらロケット弾を上向きに斉射し、急いで低空に戻って来るという運用の様子を撮影した映像もよく見かけます。

 開戦して暫くした後にロシア軍とウクライナ軍の双方の航空機がこの戦法を使い始めました。特にロシア軍は開戦初期にウクライナ軍の歩兵携行地対空ミサイル「スティンガー」で多くのヘリコプターが撃墜されており、早々に接近攻撃を控えるようになったものと思われます。ただしこれは映像で確認できる中での話ですので、通常の機体を降下させながらの接近ロケット弾攻撃も行われている可能性はあります。

ロシア軍の攻撃ヘリKa-52、攻撃ヘリMi-28

ウクライナ軍の輸送ヘリMi-8、攻撃ヘリMi-24

ウクライナ軍のSu-25攻撃機