極超音速滑空ミサイルDF-17の推定飛行性能と対応する迎撃兵器

初登場したDF-17極超音速滑空ミサイル(写真:ロイター/アフロ)

 10月1日に中国は初公開となる極超音速滑空ミサイル「DF-17(東風-17)」を軍事パレードに登場させました。このミサイルは大きさがDF-16短距離弾道ミサイルとほぼ同じで、DF-16を元にして弾頭部を滑空翼体としたものと考えられます。

【関連】極超音速滑空ミサイルDF-17を中国が初公開(2019/10/01)

 なおDF-17は軍事パレードに登場する以前から存在がアメリカに察知されており、諜報機関の分析から2017年11月に行われたDF-17の発射実験の飛行性能がリークされ、ディプロマット紙でアンキット・パンダ氏が報じています。

Introducing the DF-17: China’s Newly Tested Ballistic Missile Armed With a Hypersonic Glide Vehicle | The Diplomat (2017/12/27)

 この記事では2017年11月のDF-17発射実験では水平距離1400km、飛行時間11分、再突入後の滑空時の高度は60kmと伝えられています。このデータから速度を計算すると水平移動速度は平均でマッハ6.2となります。実際には極超音速滑空ミサイル(ブーストグライド兵器)はブースト上昇時から弾道頂点、降下までの間は弾道ミサイルと同じような動きを行うので速度はこの平均より速く、逆に降下から機首を引き起こして滑空(グライド)に入ると大気の上層部の空気抵抗で速度は落ちていくので、速力の評価は飛行状態で分けて考えた方がよいでしょう。DF-17の飛行性能を纏めると次のようになります。

  1. 水平距離1400km
  2. 最大高度100km以上(推定)
  3. 滑空高度60km
  4. 飛行時間11分
  5. 平均水平移動速度マッハ6.2
  6. ブースト時マッハ7~8(推定)
  7. 滑空時マッハ5~6(推定)
  8. 最終突入時マッハ4(推定)

 ディプロマット紙で報じられた数値を元に推定値も加えてみました。極超音速(ハイパーソニック)とはマッハ5以上を指すので、DF-17は極超音速兵器と呼べるものになります。なおこのDF-17の飛行特性から迎撃で対応できる領域と担当兵器は次の通りです。

  1. 最大高度100km以上 → 最低射撃高度70km以上のSM-3迎撃ミサイル
  2. 滑空高度60km → 最低射撃高度40km以上のTHAAD迎撃ミサイル
  3. 最終突入時 → 大気圏内迎撃用のPAC-3、SM-6迎撃ミサイル

 意外にも現有兵器でもある程度の対処が可能です。DF-17は滑空に入る前の弾道頂点付近ならば弾道ミサイルと動きは同じなのでSM-3でも対処できます。ただし弾道飛行モードは全飛行経路の最初の方で完了するのでイージス艦は前進しておくことが求められるでしょう。主な飛行となる滑空時はTHAADで対処が可能です。最終突入時は速力がかなり落ちているので捕捉さえできればPAC-3やSM-6で十分に対処は出来ますが、DF-17は弾道ミサイルより低く飛んで来るので捕捉が遅れ気味になる上に、いよいよ地上に突入してくる段階にならなければPAC-3やSM-6では交戦できないので、拠点防空しかできません。

 そこでアメリカは極超音速兵器に対処する広域防空兵器の開発をスタートさせました。以前はTHAAD-ER(二段式の射程延伸型)が提案されていましたが、それとは別に複数社に開発指示が行われ、その中の一つにレイセオン「SM-3 HAWK」という計画名称のものがあります。SM-3の派生型になると考えられ、近い将来にイージス艦やイージスアショアに搭載する極超音速兵器迎撃ミサイルが登場することになるでしょう。