Yahoo!ニュース

イスラエル軍のMD大気圏外迎撃ミサイル「アロー3」飛行テスト(公式動画紹介)

JSF軍事/生き物ライター

イスラエル国防省は25日、弾道ミサイル防衛システムの大気圏外迎撃ミサイル「アロー3」の飛行テストを行ったと発表しました。大気圏外迎撃ミサイルについて以前アメリカは開発費用の圧縮を狙ってSM-3をイスラエルに勧めていましたが、イスラエルの狭い国土にとってSM-3の最大射程1200kmという性能は無意味なまでに過剰だったので拒否し、アメリカからの資金援助と開発援助を受けつつ、イスラエル独自仕様のアロー3を開発しています。

イスラエル国防省公式YouTubeチャンネルIsraelMoDonlineより。

  • 2分5秒以降に弾頭に設置された試験カメラから宇宙空間の映像。切り離されたロケット部分も見える。

大気圏外迎撃用のアロー3は運動エネルギー弾頭による直撃方式を採用しており炸薬は搭載していません。ミサイル全体の大きさは大気圏内迎撃用のアロー2よりむしろ小さくなっています。しかし炸薬を搭載していないので弾頭が軽く、加速性能と射程はアロー3の方が上になります。アロー3の運動エネルギー弾頭は以前の発表で判明した範囲ではサイドスラスターは使われていなかったのですが、今回新たに発表された動画のCG部分ではサイドスラスターを併用している事が判明しています。

イスラエル軍のアロー3は2014年~2015年には実戦配備予定で、アメリカ軍の装備しているMD用の大気圏外迎撃ミサイル(GBI、SM-3、THAAD)以外では初めての実用的な大気圏外迎撃ミサイルになる予定です。MD用の大気圏外迎撃ミサイルは他にフランスやロシア、中国やインドでも開発中です。

  • 2011年に行われたアロー3最初の発射テスト。
軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

JSFの最近の記事