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本州の南海上で前線が停滞 三連休中の東京の雪の可能性は

饒村曜気象予報士
みぞれが降る浅草ロック通りのカップルと人力車(写真:イメージマート)

気温の急降下

 令和6年(2024年)2月21日は、日本の南岸に前線が停滞し、西日本や東日本の太平洋側では雨が降り、雷を伴って激しく降りました(図1)。

図1 日本の南海上に東西にのびる停滞前線(2月21日12時)
図1 日本の南海上に東西にのびる停滞前線(2月21日12時)

 北陸や東北では雪や雨が降り、北海道は雲が広がりやすく所によりにわか雪がありました。概ね晴れているのは南西諸島だけでした。

 記録的な暑さだった前日より、気温は大幅に低くなる所が多く、季節が大きく後退と感じますが、これで、ほぼ平年並みです。

 多くの日の気温は、明け方が一番低く、昼過ぎが一番高いという日変化をしますが、2月21日は、気温は一直線に下がり、未明が高く、昼間が一番低くなりました。

 東京都心では、2月20日12時32分に23.7度を観測した後、気温が急降下し、21日の最高気温は0時14分の13.2度、最低気温は13時33分の7.3度でした(図2)。

図2 東京の気温の推移(2月20日~21日の実況と22日~24日の予想、点線は平年値)
図2 東京の気温の推移(2月20日~21日の実況と22日~24日の予想、点線は平年値)

 最低気温を観測した昼過ぎは、普段であれば最高気温を観測する時間帯です。

 そして、日中の気温で言えば、前日に比べて16度も下がったのですから、非常に寒く感じた方も多かったと思いますが、下がってほぼ平年並みの気温です。それだけ、20日の暑さが異常だったのです。

続く寒さ

 2月22日は、前線が本州南岸で停滞し、引き続き寒気が南下していますので、この時季らしい寒さが続く見込みです(図3)。

図3 地上天気図(2月21日9時)と予想天気図(2月22日9時の予想)
図3 地上天気図(2月21日9時)と予想天気図(2月22日9時の予想)

 南西諸島は概ね晴れますが、西日本から東日本では雨が降り、関東北部や甲信、北陸では雪の降る所もあるでしょう。

 北日本も雲が多く、東北南部や北海道を中心に雪の降る所がありそうです。

 最高気温は九州南部や南西諸島では平年より高いですが、その他の地域は平年より低い所が多い予想です。

 気温の変化が、いつもとは違いますので、服装選びには注意してください。

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡では最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べると、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波が今冬一番の寒波ということができるでしょう。

 2月に入ると、最高気温が0度未満の真冬日の観測地点数が200地点(全国で気温を観測している914地点の約22パーセント)を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、最低気温が0度未満の冬日を観測する地点は600地点(約66パーセント)を切っており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 2月21日は、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが沖縄県を中心に30地点(約3パーセント)あったものの、冬日が309地点(約34パーセント)、真冬日が183地点(約20パーセント)でした(図4)。 

図4 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月24日、2月22日以降は予測)
図4 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月24日、2月22日以降は予測)

 この季節らしい寒さは、しばらく続く見込みで、2月22日以降、真冬日、冬日ともに前日より増え、夏日は減る見込みです。

今冬の東京の気温の推移

 今冬の東京は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなかったものの、気温は高めに推移していました(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(2月22日以降は予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(2月22日以降は予報)

 しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月21日には気温が急降下しました。

 今後の最高気温は、平年より低くなったあと、徐々に平年並みに近づく見込みです。

三連休の天気

 2月23日の金曜は天皇誕生日の祝日で、三連休が始まる日ですが、雨や雪の範囲は狭くなるものの、北海道や本州は寒い状態が続きそうです。

 24日の土曜には、晴れ間の出る所もありますが、天気は回復せず、25日の日曜から26日の三連休明けの月曜は、再び雨や雪の降る地域が多い見込みです。

 これは、本州の南岸を低気圧が発達しながら通過するためです(図6)。

図6 予想天気図(左上は2月24日21時、右下は2月27日21時、陰影はまとまった降水域の範囲を示す)
図6 予想天気図(左上は2月24日21時、右下は2月27日21時、陰影はまとまった降水域の範囲を示す)

 2月25日から26日にかけては、関東は気温が上がりにくく、内陸を中心に雪の降る可能性があります(図7)。

図7 雨雪判別の予想(2月25日9時の予想)
図7 雨雪判別の予想(2月25日9時の予想)

 現時点での予想では、2月25日(日)9時の段階で、関東北部や埼玉県秩父地方、東京都多摩地方では雪となっており、このあと、東京都心でも雨か雪が降る見込みです。

 ただ、南岸低気圧の降雪の予報は非常に難しく、下層の寒気の動向で予報が大きく変わりますので、最新の気象情報に注意してください。

図1、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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