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記録的な暑さの後は、菜種梅雨のような天気

饒村曜気象予報士
雨(写真:アフロ)

一時的な記録的な暖かさ

 令和6年(2024年)2月19日は、日本海の東進する低気圧や前線に向かって暖気が北上し、ほぼ全国的に雨となったものの、記録的な暖かさとなりました(タイトル写真)。

 北海道も雪でなく雨で、札幌などでは「雨一番」となりました

 「春一番」は、2月15日に北陸と関東ですでに吹いていますが、強い風が吹いて気温が上がった九州では、2月19日夕方に、福岡管区気象台が九州北部(山口県を含む)に対して、鹿児島地方気象台が九州南部と奄美地方に対して、それぞれ「春一番」が吹いたと発表しました。

 2月29日に最高気温が0度未満となる真冬日を観測した地点数は0で、最低気温が0度未満となる冬日を観測した地点数も166地点(気温を観測している全国914地点の約18パーセント)と、少し前から見ると激減しています(図1)。

図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月19日)
図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月19日)

 また、沖縄県を中心に最高気温が25度以上の夏日が25地点(約3パーセント)も出現しています。 

 ただ、この記録的な暖かさは一時的で、2月20日には北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下して寒くなる見込みです(図2)。

図2 地上天気図(左:2月19日9時)と予想天気図(中:20日9時の予想、右:21日9時の予想)
図2 地上天気図(左:2月19日9時)と予想天気図(中:20日9時の予想、右:21日9時の予想)

 このため、真冬日や冬日を観測する地点数が増えますが、影響は沖縄まで及ばず、夏日を観測する地点数は横ばいです(表)。

表 真冬日・冬日・夏日を観測する地点数の予想
表 真冬日・冬日・夏日を観測する地点数の予想

 2月19日の暖かさで雪の多い地方では雪解けが一気に進み融雪洪水や全層雪崩の危険性が高まりましたが、その後の寒気で雪の表面が凍結し、滑りやすくなります。

 図3は、札幌の気温変化ですが、19日の暖かさとは様変わりで、このような急な温度変化は体調を崩しやすくなりますので、注意してください。

図3 札幌の気温変化(2月18日~21日)
図3 札幌の気温変化(2月18日~21日)

16日先までの天気予報

 札幌の16日先までの天気予報をみると、今週も、来週も黒雲マーク(降水の可能性がある曇り)の日が続きます。

 そして、時々雪だるまマーク(雪)です。

 今週は最高気温も氷点下という一日中厳しい寒さが続きますが、来週は日中は氷点下を脱しそうです(図4)。

図4 札幌の16日先までの天気予報
図4 札幌の16日先までの天気予報

 そして、再来週になると、お日様マーク(晴れ)も現れるようになり、気温も若干上がってきます。

 東京の16日先までの天気予報をみると、来週の26日までは黒雲マークや傘マーク(雨)の日が続き、雪だるまに傘のマーク(みぞれ)の日もあります。

 これは、本州南岸に前線が停滞するためで、少し早めの菜種梅雨といったところです(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 ただ、2月27日以降は、お日様マークや白雲マーク(降水の可能性が少ない曇り)の日が続く見込みです。

 これは、本州南岸の前線が南に下がるためですが、南下してきた前線が停滞する沖縄では、来週以降は雨の日が続くことになります(図6)。

図6 那覇の16日先までの天気予報
図6 那覇の16日先までの天気予報

 寒暖を繰り返しながら暖かくなるというのが、春の特徴ですが、今年は振れ幅が大きく、しかも早めに推移していきます。

図1、図3、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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