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来週は4月並みの暖かさで「春一番」が吹く可能性もあり

饒村曜気象予報士
風が吹くイメージ画像(提供:イメージマート)

平年並みの気温へ

 2月9日は、日本付近は、大陸から弱いながら高気圧が張り出してきたため、北日本では日本海側を中心に雲が広がり、午前中を中心に雪の降る所があるでしょう。東~西日本では太平洋側は概ね晴れ、日本海側も次第に曇りから晴れに変わるでしょう。南西諸島はくもりや雨となる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(2月9日9時の予想)
図1 予想天気図(2月9日9時の予想)

 最高気温は、南西諸島で平年より低い他は、平年並みの所が多い予報となっています。昼間は日差しによって暖かさを感じても、朝晩は冷え込み、寒暖差が大きくなるでしょう。

 例えば、東京です。

 東京に大雪が降った2月5日は、最高気温6.2度を観測した正午頃から一気に気温が急降下して雪が降り始めたのですが、一日の気温差(日較差)は5.9度でした(図2)。

図2 東京の気温変化(2月4日~8日)
図2 東京の気温変化(2月4日~8日)

 翌6日は、気温が1日中上がらず、日較差は4.6度でした。

 7日は、最低気温が氷点下0.1度と、今冬2度めの冬日(最低気温が氷点下の日)となったのですが、日中は気温があがり、日較差は9.7度と大きくなり、以後、日毎に最高気温と日較差がともに大きくなり、その後も大きくなる予想です。

今冬の寒波

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡では最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 12月22日に全国で最高気温が0度を下回った真冬日を観測したのは264地点(気温を観測している全国914地点の約29パーセント)、最低気温が0度を下回った冬日は774地点(約85パーセント)もありました(図3)。

図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月10日、2月9日以降は予報)
図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月10日、2月9日以降は予報)

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べるとが、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波には及ばなかったといえるでしょう。

 2月に入ると、真冬日を観測地点数が200地点を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、冬日を観測する地点は600地点を切っており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 また、沖縄地方を中心に、最高気温が25度以上の夏日が観測されるようになってきました。

 今冬の東京都心の最高気温と最低気温の推移をみると、12月の中旬までは、平年よりかなり高い気温を観測する日が多く、12月15日に最高気温20.2度、翌16日に最高気温21.1度を観測し、12月としては異例の連続20度超えでした(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(2月9日以降はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(2月9日以降はウェザーマップの予報)

 しかし、冬至(12月20日)頃に南下してきた冬至寒波以降、極端な高温の日はなくなっています。 

 とはいえ、平年より高い日が多く、下がって平年並みでした。

 2月5日~6日に南岸低気圧が通過したとき、関東地方には北東の風に乗って強い寒気が入って気温が下がり、関東としては大雪となりましたが、この先、建国記念の日を含む3連休の終わりの頃から気温が上がり始め、3月~4月並みの陽気になる所が多くなり、季節がまた一歩先に進みそうです。

移動性高気圧におおわれる三連休とその後の高温

 2月11日(日)は建国記念の日、翌12日(月)は振替休日ですが、このころは移動性高気圧に覆われる見込みです。

 このため、北日本と北陸以外は晴れて気温が上昇する見込みです。

 そして来週半ばには、移動性高気圧の西縁をまわるように暖気が北上し、季節外れの暖かさとなる見込みです。

 2月13日の札幌の最高気温11度は4月中旬並み、14日の仙台の最高気温17度は4月下旬並みです。

 2月14日の東京の最高気温20度は4月中旬並み、14日の福岡の最高気温20度も4月中旬並みと、各地で4月の陽気となる見込みです。

 北日本など、雪の多い地域は、なだれや融雪洪水に注意が必要な一週間になりそうです。

 また、来週半ばには、日本海で低気圧が発達し、低気圧に吹き込む南風が強まって、さらに気温が上昇する可能性もあります。

 そうなると、立春(2月3日)を過ぎていますので、「春一番」となります。

 「春一番」の定義は、各地方で少しずつ異なります。

 関東地方では、

・立春から春分(3月20日)の期間

・日本海に低気圧がある

・関東地方の最大風速が概ね8メートル以上(昔は関東地方の春一番を東京都千代田区の風だけで決めていました)

という定義です。

 昨年は、3月1日でした。

さくらの開花

 今年のさくらは、一部地域を除いて平年より5日〜10日くらい早いところが多くなりそうです。

 今年の冬は、寒気が流れ込む回数が少なく長続きもしない、暖冬となっています。このため、休眠打破は弱めとみられますが、令和2年(2020年)ほどの大暖冬ではないため記録的な弱さではないところが多いとみられます。

 この先2月の半ば以降は非常に暖かい日が多い見込みで、3月も平年よりは気温の高い日が多くなるとみられます。このため、さくらの開花は平年より1週間くらい早くなりそうです(図5)。

図5 さくら開花前線(ウェザーマップが2月8日に発表した予報)
図5 さくら開花前線(ウェザーマップが2月8日に発表した予報)

 そのあと、4月も気温は高めとなる見込みで、東北北部や北海道でも平年より早そうです。

 寒い寒いと言ってるうちに、早くも春の話題です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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