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寒い寒いと言っているうちに、来週は全国的に4月並みの季節外れの暖かさ

饒村曜気象予報士
気品の上品な白い梅の花(写真:イメージマート)

今冬の寒波

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡では最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 12月22日に全国で最高気温が0度を下回った真冬日を観測したのは264地点(気温を観測している全国914地点の約29パーセント)、最低気温が0度を下回った冬日は774地点(約85パーセント)もありました(図1)。

図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月10日、2月8日以降は予報)
図1 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月10日、2月8日以降は予報)

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べるとが、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波には及ばなかったといえるでしょう。

 2月に入ると、真冬日を観測地点数が200地点を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、冬日を観測する地点は600地点を切っており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 また、沖縄地方を中心に、最高気温が25度以上の夏日が観測されるようになってきました。

 今冬の東京都心の最高気温と最低気温の推移をみると、12月の中旬までは、平年よりかなり高い気温を観測する日が多く、12月15日に最高気温20.2度、翌16日に最高気温21.1度を観測し、12月としては異例の連続20度超えでした(図2)。

図2 東京都心の最高気温と最低気温の推移(2月8日以降はウェザーマップの予報)
図2 東京都心の最高気温と最低気温の推移(2月8日以降はウェザーマップの予報)

 しかし、冬至(12月20日)頃に南下してきた冬至寒波以降、極端な高温の日はなくなっています。

 とはいえ、平年より高い日が多く、下がって平年並みでした。

 2月5日~6日に南岸低気圧が通過したとき、関東地方には北東の風に乗って強い寒気が入って気温が下がり、関東としては大雪となり、各地で大雪警報や大雪注意報が発表となりました(図3)。

図3 大雪警報・注意報の発表状況(2月5日18時11分現在)
図3 大雪警報・注意報の発表状況(2月5日18時11分現在)

 東京都心でも8センチの積雪となり、2月6日の最高気温は5.4度までしかあがりませんでした。

(2月9日13時追記:本文中で東京の積雪の値に誤りがありました。本記事では当初「11センチ」と記載しましたが、正しくは「8センチ」(23時)です。お詫びして訂正します。)

南岸低気圧のあとは弱い冬型

 2月7日は、関東に大雪をもたらした低気圧が東海上に去り、西高東低の冬型の気圧配置となりましたが、等圧線の間隔が広く、寒気の南下は大きくありませんでした(図4)。

図4 地上天気図(左:2月7日9時)と予想天気図(右:2月8日9時の予想)
図4 地上天気図(左:2月7日9時)と予想天気図(右:2月8日9時の予想)

 このため、北~西日本の日本海側では雲が広がりやすく、所々で雪や雨が降り、北~西日本の太平洋側は晴れる所が多くなりました。

 東京都心の最低気温は氷点下0.1度と、1月25日に次ぐ、今冬2回目の冬日となりましたが、日中の最高気温が9.6度と、平年並みまで上昇しました。

 気温が極端にあがらなかったため、関東では、現在でも道路の一部には積雪が残り、路面がぬれて凍結しやすい状態が続いていますので、2月8日朝も注意が必要です。

移動性高気圧におおわれる三連休とその後の高温

 2月11日(日)は建国記念の日、翌12日(月)は振替休日と、10日(土)を含めて三連休ですが、このころは移動性高気圧に覆われる見込みです(図5)。

図5 予想天気図(2月9日~14日、陰影は降水域)
図5 予想天気図(2月9日~14日、陰影は降水域)

 このため、北日本と北陸以外は晴れて気温が上昇する見込みです。

 そして来週半ばには、移動性高気圧の西縁をまわるように暖気が北上し、季節外れの暖かさとなる見込みです(図6)。

図6 全国各地の天気予報(2月8日~18日)
図6 全国各地の天気予報(2月8日~18日)

 2月14日の札幌の最高気温10度は4月上旬並み、仙台の最高気温17度は4月下旬並みです。

 2月14日~15日の東京の最高気温19度は4月中旬並み、14日の福岡の最高気温20度も4月中旬並みと、各地で4月の陽気となる見込みです。

 ただ、北日本など、雪の多い地域は、なだれや融雪洪水に注意が必要な一週間になりそうです。

図1、図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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