豊かな日本語 北窓(きたまど)に御降り(おさがり)、正月の天気は?
冬の季語「北窓」
昔の人は、冬になると冷たい季節風が入ってくる北窓を閉じたり塞いだりしています。俳句の季語の「北窓塞ぐ」です。
そして、春になって暖かくなったときが、「北窓開く」です。
「北窓」には、「おはぎ(ぼたもち)」の意味もあります。
モチ米とコメを混ぜて炊き、スリこぎで半潰しにして作る食べ物は、春のボタンの咲く頃に作ると「ぼたんもち(ぼたもち)」、秋のハギの咲く頃に作ると「おはぎ」と呼ばれています。
「おはぎ(ぼたもち)」は、餅つきでモチを作るときのように、「つき」がありません。北窓からは月が見えないことから、「つきがない」ということで、冬に食べるときは「北窓」といいます。
同様に、夜は船が着いたがわからない(つき知らず)から、夏に食べるときは「夜舟(よふね)」といいます。
似たような食べ物を、春夏秋冬で呼び方変えるという、豊かな日本語を感じます。
正月に降る雨や雪
正月に降る雨や雪にも、特別な名前があります。
めでたい正月には、涙を連想させる雨や雪という言葉は、ふさわしくないということで、「御降り(おさがり)」や「富正月(とみしょうがつ)」に言い換えていました。
良い年になって欲しいという験担ぎ、あるいは、豊作の前兆とみなしたことが由来といわれています。
年末年始の天気予報
令和5年(2023年)の年末は、日本の南岸と日本海の2つの低気圧が通過し、ほぼ全国的に雨が降る見込みです(図1)。
二つの低気圧が日本列島を挟むように通過する、このような天気図を「二つ玉低気圧型」といい、全国的に雨が降る天気図の型です。
これらの低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となり、東北地方まで雨、、北海道も雪か雨の予報となっています(図2)。
そして、2つの低気圧は日本の東海上で一つにまとまって発達し、年が明けた1月1日は、北日本に強い寒気が南下してくる予報となっています(図3)。
寒気の強さの目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。
上空約5500メートルで氷点下36度以下なら大雪、氷点下30度以下なら平地でも雪というものですが、今回は、氷点下30度以下の範囲が東北地方までの南下ですが、長続きしない見込みです。
このため、令和6年(2024年)1月1日は、北日本を中心に西高東低の気圧配置となって日本海側は雲が多い天気となり、太平洋側では概ね晴れるという、冬に多い天気分布となる見込みです(図4)。
この冬型の気圧配置は、長続きせず、1月2日には日本海側の地方でも晴れの地域が広がる見込みです(図5)。
令和6年(2024年)の「御降り(おさがり)」は、日本海側の地方に限られそうです。
図1、図2、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。