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南岸低気圧通過のあと、週末にかけて一級の寒波襲来

饒村曜気象予報士
南岸低気圧の雲と地上天気図(令和5年(2023年)12月19日12時)

南岸低気圧の通過

 令和5年(2023年)12月19日は、東シナ海で発生した低気圧が日本の南岸を通過したため、西日本では太平洋側を中心に雨となり、山沿いでは雪が降りました。

 その他の地域も雲が多く、東~北日本の日本海側を中心に所々で雪や雨が降りました。南西諸島も雨でした。

 このため、気温は沖縄で平年より高い他は、平年より低い所が多くなり、最低気温が0度を下回る冬日を447地点(気温を観測している全国914地点の約49パーセント)で観測しました(図1)。

図1 夏日、冬日、真冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月22日、12月20日以降は予測)
図1 夏日、冬日、真冬日の観測地点数の推移(9月1日~12月22日、12月20日以降は予測)

 最高気温が0度に達しない真冬日も204地点(約22パーセント)で観測しており、11月初めには、全国の約40パーセントで最高気温が25度以上の夏日であったことを考えると、様変わりです。

 12月20日には、南岸低気圧は日本の東海上に抜けますが、上空の寒気に対応する低気圧が北陸地方を東進する見込みです。

 このため、北~西日本の日本海側では雲が広がり、所々で雪や雨が降りますが、北~東日本の太平洋側は昼頃からは晴れ間が広がる見込みです。

 西日本の太平洋側は概ね晴れとなり、南西諸島はくもりや雨となるでしょう。

強い寒気の南下

 南岸低気圧が通過したあとの今週末は、冬型の気圧配置となって強い寒気が南下する見込みです。全国の約80パーセントの地点で冬日になりそうです。

 強い寒気の目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。

 上空約5500メートルで気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら大雪の可能性があるというものです。

 週末にかけては、上空約5500メートルで氷点下30度以下の範囲は東北から北陸まで南下し、氷点下36度以下の範囲も東北北部まで南下するという一級の寒波です。

 北海道北部は氷点下42度以下になる見込みです(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温予想(12月22日夜の予想)
図2 上空約5500メートルの気温予想(12月22日夜の予想)

 今週末は今季最強の寒波の影響で、日本海側を中心に大雪や猛吹雪となり、西日本の平野部などでも雪が積もるおそれがあります。

 最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

大きな寒暖差

 福岡の最高気温と最低気温の推移をみると、10月までは平年より気温が高く推移していました。

 しかし、11月に入ると、寒暖差が非常に大きくなっています(図3)。

図3 福岡の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)
図3 福岡の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)

 福岡の最高気温は、12月15日に23.7度と夏日一歩手前まで気温が上昇しましたが、翌16日には15.6度、さらに翌17日には6.6度と、2日で17度も低くなっています。

 そして、暖気を持ちこんだ南岸低気圧によって19日の最高気温は15.6度ですが、20日以降の最高気温は一桁、特に22日は3度です。

 最低気温ではなく、最高気温が3度です。

 今週末にかけて非常に寒くなるのですが、クリスマスを境に気温が上昇し、暖かい年末年始となる見込みです。

 東京の最高気温と最低気温の推移も、福岡ほどの大きな寒暖差ではありませんが、似た傾向を示しています(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)

 12月19日に最高気温14.1度を観測しましたが、22日以降は最高気温が9度という平年よりやや寒い日が続く見込みです。

 そして、暖かい年末年始となる見込みです。 

 札幌も、福岡や東京と同様です(図5)。

図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)
図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月20日〜26日は気象庁、12月27日〜1月4日はウェザーマップの予報)

 11月下旬以降、寒暖差が大きくなり、真冬日や、札幌のこの時季としては記録的に高温の15度を上回ったりしています。

 現在は、12月11日からクリスマス頃まで続く寒さの中に入っていますが、その後気温が上昇して、札幌としては暖かい年末年始になりそうです。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4、図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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