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週末は一時的に寒気南下で札幌など北海道の平野部で初雪の可能性も、その後は暖気が入り北日本中心に高温

饒村曜気象予報士
紅葉と晩秋の手稲山(写真:イメージマート)

寒冷前線の南下

 令和5年(2023年)10月19日は、北海道を寒冷前線が南下してきました。

 このため、北海道から東北北部はくもりや雨となり、北海道では雷を伴った激しい雨の降った所もありました。

 その他の地域は概ね晴れ、前線に向かって暖気が北上したため、最高気温は、全国的に平年より高くなりました。

 全国で気温が一番高かったのは沖縄県・仲筋の30.8度で、沖縄県だけが5地点(全国で気温を観測している914地点の約0.5パーセント)で最高気温30度以上の真夏日となりました。

図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~10月19日)
図1 真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(9月1日~10月19日)

 また、376地点(約41パーセント)で最高気温が25度以上の夏日になりました。

 さすがに、10月後半ともなると、平年より高い気温といっても、なかなか真夏日にはなりません。

 10月20日は寒冷前線の通過によって北日本~東日本太平洋側では雨で、東日本太平洋側~近畿・四国も夕方から雨の見込みです(図2)。

図2 予想天気図(左は10月20日9時、右は10月21日9時の予想)
図2 予想天気図(左は10月20日9時、右は10月21日9時の予想)

 九州や中国も午前中を中心に雨で、概ね晴れるのは南西諸島だけの見込みです。

強い寒気の南下

 週末には、西高東低の気圧配置となって、上空にこの時期としては強い寒気が南下してきます。

 寒気の強さの目安として、上空約5500メートルの気温が使われますが、10月21日朝に北日本に南下してくる寒気は、平地でも雪となる目安となっている氷点下30度です(図3)。

図3 上空約5500メートルの気温分布予想(10月21日朝の予想)
図3 上空約5500メートルの気温分布予想(10月21日朝の予想)

 つまり、北日本の日本海側~北陸では雨となり、札幌など北海道平野部でも雪の可能性があるのです(図4)。

図4 各地の天気予報(10月21日の予報)
図4 各地の天気予報(10月21日の予報)

 気象庁が発表した10月12日の予報では、大きな傘の下に雪だるまが入っている予報です。

 雨が主体で雪が混じる(みぞれ)という予報ですが、みぞれは初雪対象ですので、今週末は北海道から初雪の便りがきかれるかもしれません。

季節外れの暖かさ

 気象庁が10月19日に発表した向こう1か月の天候の見通しでは、暖かい空気に覆われやすく、向こう1か月の気温は全国的に高く、特に、北日本では、期間の前半は気温がかなり高くなるとのことです。

 つまり、今週末に南下してくる寒気は一時的で、来週は全国的に、特に北日本で気温が高くなる見込みです(図5)。

図5 気象庁が10月19日に発表した8日先から12日先まで(10月27日~10月31日)の日平均気温
図5 気象庁が10月19日に発表した8日先から12日先まで(10月27日~10月31日)の日平均気温

 札幌の最高気温と最低気温の推移をみると、9月以降、平年より高い日が続き、下がっても平年並みの気温でした(図6)。

図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(10月20日~26日は気象庁、10月27日〜11月4日はウェザーマップの予報)
図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(10月20日~26日は気象庁、10月27日〜11月4日はウェザーマップの予報)

 それが、今週末は最高気温、最低気温ともに平年を下回る予報になります。

 そして、来週以降は気温が平年よりかなり高くなり、10月末の最低気温は、平年の最高気温より高くなるという、季節外れの暖かさとなる見込みです。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図5の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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