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厳しい残暑は彼岸の中日(秋分の日)まで 記録的な暑さを終わらせる彼岸の雨

饒村曜気象予報士
今年の夏から初秋の気温の推移(東京のイメージ)

記録的な残暑

 今年7月以降続いていた記録的な暑さは、9月に入っても続いています。

 台風13号の北上により雨が降った9月8日頃には、一時的に気温が下がりましたが、厳しい残暑が続いています。

 9月17日に全国で気温が一番高かったのは、新潟県・新津の37.1度、次いで長野県・飯山の36.4度など、新潟県から西日本の日本海側を中心に25地点(気温を観測している全国915地点の約3パーセント)で、最高気温が35度以上の猛暑日になりました。

 また、最高気温30度以上の真夏日を観測したのが580地点(約63パーセント)と7〜8月の最盛期に比べれば大きく減っていますが、最高気温25度以上の夏日を観測したのが868地点(約95パーセント)もあります(図1)。

図1 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(5月1日~9月17日)
図1 夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(5月1日~9月17日)

 また、熱中症警戒アラートが埼玉・千葉・新潟・石川・島根・鳥取の6県に発表となり、今年の累計が1223地域となっています(図2)。

図2 熱中症警戒アラートの発表回数の累計(令和4年(2022年)と令和5年(2023年))
図2 熱中症警戒アラートの発表回数の累計(令和4年(2022年)と令和5年(2023年))

 熱中症が問題となった昨年、令和4年(2022年)の889地域をすでに約38パーセントも上回っていますが、9月18日の前日予報では、熱中症警報アラートの発表地域がないなど、そろそろ、熱中症警戒アラートの発表がなくなる季節になりそうです。

「彼岸まで」ではなく「彼岸の中日(秋分の日)まで」

 秋雨前線が北日本から朝鮮半島にのびており、日本海北部の低気圧から東にのびる停滞前線はゆっくり北上しています(図3)。

図3 予想天気図(左は9月18日9時、右は9月19日9時の予想)
図3 予想天気図(左は9月18日9時、右は9月19日9時の予想)

 また、日本海北部の低気圧から西にのびる停滞電線はゆっくり南下しています。

 このため、敬老の日の9月18日は、前線に近い九州では北部を中心にくもりや雨となり、雷を伴った非常に激しい雨の降る所もあるでしょう。また、北海道では雲が広がりやすく、広い範囲で雨となる見込みです。

 中国・四国~東北は、概ね晴れますが、午後は山沿いを中心ににわか雨や雷雨がありそうです。南西諸島は概ね晴れるでしょう。

 南から暖かい空気が流入しているため厳しい残暑が続いている所が多く、雨が降っている所でも気温は平年より高い見込みです。

 猛暑日は、9月18日の敬老の日と19日の火曜日は5地点程度と見積もられていますので、敬老の日を含む3連休は、今年最後の記録的な残暑になるかもしれません。

 とはいえ、しばらくは全国の約半分の地点で真夏日という厳しい残暑は続く見込みです。

 「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句があります。

 冬の寒さ(余寒)は春の彼岸の入りの頃(3月20日前後)まで、夏の暑さ(残暑)は秋の彼岸の入りの頃(9月20日前後)までには和らぐという意味です。

 今年の秋の彼岸の期間は、9月20日から26日までですので、彼岸の入りが9月20日、彼岸の中日(ちゅうにち)が9月23日で(秋分の日)ということになります。

 東京の最高気温は、6月下旬以降平年値より高い状態が続いており、7月10日に36.5度を観測し、今年初の猛暑日となり、猛暑日を観測したのは22日に及びました(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(9月18日〜9月24日は気象庁、9月25日〜10月3日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(9月18日〜9月24日は気象庁、9月25日〜10月3日はウェザーマップの予報)

 東京では、彼岸の入りの9月20日でも気温が高く、「暑さも彼岸まで」とはならない予報ですが、彼岸の入りのあとに秋雨前線が南下して秋の空気に覆われますので、「暑さも彼岸の中日まで」ということにはなりそうです。

東京の暑さの記録

 これまでの東京の猛暑日の年間日数は、去年、令和4年(2022年)の16日が最多ですので、これを大幅に更新しました。

 最高気温の予報からみて、これ以上増えないと思われますので、これまでの記録より6日も多い22日という最多記録になりそうです(表)。

表 東京の猛暑日、真夏日、熱帯夜の年間観測日数(令和5年(2023年)は9月17日まで)
表 東京の猛暑日、真夏日、熱帯夜の年間観測日数(令和5年(2023年)は9月17日まで)

 また、今年の最高気温は7月26日の37.7度ですが、最高気温が平年値より高い状態は、台風13号が接近して雨となった9月8日に25.2度を観測するまで続きました。

 そして、今年の真夏日日数は、9月17日までで85日となり、これまでの記録を更新中ですが、最高気温の予報からみて、あと7日程度は増えると思われます。 

 さらに、熱帯夜日数(最低気温が25度以上の日を熱帯夜の日として集計した日数)については、平成22年(2010年)の56日に次ぐ2位の55日となっています。

最低気温の予報からみて、2日程度は増え、平成22年(2010年)の56日を抜いて記録更新となるかもしれません。

 夏の暑さをしめす、猛暑日、真夏日、熱帯夜の記録をみると、ほとんど平成12年(2000年)以降と、最近は記録的な暑さの年が多いことをしめしています。

 そして、今年は、この3つとも記録を更新しそうな記録的な暑さでした。

秋雨前線通過による彼岸の雨

 各地の10日間予報をみると、9月20日の彼岸の入り後の22日に、秋雨前線の南下によって、ほぼ全国的に彼岸の雨が降る予報です(図5)。

図5 各地の10日間予報(9月18日~24日は気象庁、25日~27日はウェザーマップの予報で、数字は最高気温)
図5 各地の10日間予報(9月18日~24日は気象庁、25日~27日はウェザーマップの予報で、数字は最高気温)

 そして、この雨の後、秋の空気に覆われ、晴れても30度前後と、気温が少し下がると思われますので、それまでは、あと少し、熱中症対策の継続をお願いします。

 ただ、彼岸の中日(9月23日の秋分の日)までに記録的な暑さが終わっても、気温が平年より高い日が続きます。

タイトル画像、図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:環境省ホームページをもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:ウェザーマップ提供。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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