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梅雨前線南下で奄美地方は梅雨最後の雨 上空に寒気を伴った低気圧が通過で北日本は大気不安定

饒村曜気象予報士
予想天気図(6月24日9時の予想)

東日本の南に前線南下

 令和5年(2023年)6月23日は、西~東日本に雨を降らせた低気圧が日本の東に移動し、前線が東日本の南に南下しますので、西日本は概ね晴れとなり、東日本太平洋側も雲が多いものの次第に雨が止む見込みです。

 前線が停滞している鹿児島県奄美地方から沖縄本島では雨ですが、前線から離れている沖縄県先島諸島は晴れの見込みです。

 奄美地方では、6月19日に線状降水帯が発生し、気象庁では、14時20分に顕著な大雨に関する情報を発表しました。

 線状降水帯に近い沖永良部島では19日に1時間に53ミリ、日降水量289.5ミリを観測していますが、線状降水帯のほとんどが海上でした。

 また、翌20日にも奄美地方で線状降水帯が発生し、気象庁は18時39分に顕著な大雨に関する情報を発表しました。

 線状降水帯に近い奄美大島の古仁屋では21日に1時間に55.5ミリ、日降水量270.5ミリを観測していますが、この日も線状降水帯のほとんどが海上でした。

 19日の場合も、20日の場合も、線状降水帯の位置が少しずれていたら、もっと多くの雨が降った可能性があります。

 とはいえ、奄美地方では、その後も雨が続き、96時間で100ミリ以上の雨が降っています(図1)。

図1 96時間降水量(19日0時~22日24時)
図1 96時間降水量(19日0時~22日24時)

 同じ奄美大島でも、瀬戸内町の古仁屋では444ミリの雨が降っているに対し、20キロ位しか離れていない奄美市の名瀬では252ミリと約半分です。

 今回の雨は非常に局地的ですので、最新の気象情報を入手し、引き続き雨に警戒してください。

全国の夏日と真夏日

 6月22日は本州の南岸を低気圧が通過したため、雨の所が多く、最高気温が25度以上の夏日は西日本を中心として346地点(全国で気温を観測している915地点の約38パーセント)と、久しぶりに半数以下となりました(図2)。

図2 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~6月22日)
図2 夏日と真夏日の観測地点数の推移(令和5年4月1日~6月22日)

 最高気温が30度以上の真夏日は43地点(約5パーセント)でした。

 改めて、約1か月前の5月17日に真夏日が299地点(約33パーセント)で猛暑日が1地点、5月18日に真夏日が282地点(約31パーセント)で猛暑日が6地点という暑さになったのが異常でした。

 ただ、6月23日は西日本や東海、関東では天気が回復してくる見込みですので、前日の22日に気温が低かった東海や関東地方でも30度近くまで上がる夏日の予想です。

 再び夏日や真夏日が増える予想ですので、気温が高くなる地方では、熱中症に注意してください。

上空に寒気を伴った低気圧

 一方、日本海には上空に寒気を伴った動きの遅い低気圧があります。

 このため、6月23日~24日は、東日本の日本海側~北日本では雲が多く、大気が不安定となって雷が発生しやすくなっています。

 落雷や突風などに、しばらく注意してください。

 というのは、上空に寒気を伴った低気圧は、動きが遅いものが多く、似た状況が続くからです(タイトル画像)。

 「雷三日」という諺がありますが、昔の人は、理由は知らなくても、経験的に三日位は雷が続くということを知っていたのです。

梅雨前線の北上と沖縄の梅雨明け

 各地の10日間予報を見ると、那覇は、6月24日以降、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が続く見込みです(図3)。

図3 各地の10日間予報(数字は最高気温の予報)
図3 各地の10日間予報(数字は最高気温の予報)

 傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)は、6月23日のみです。

 これは、梅雨前線の北上に伴うもので、6月24日に沖縄地方が梅雨明けとなる可能性が高いと思われます。

 沖縄地方の梅雨明けの平年は6月21日ですので、6月24日に梅雨明けした場合は、平年より遅い梅雨明けとなります。

 また、名瀬では、傘マークや黒雲マークがあるのは6月25日までで、26日以降はお日様マークや白雲マークの日が続く見込みですので、6月25日か26日に梅雨明けするかもしれません。

 奄美地方の梅雨明けの平年は6月29日ですので、平年より早い梅雨明けになりそうです。

湿度の高い暑さ

 沖縄・奄美地方が梅雨明けしたと思われる来週は、西日本から東日本・東北の広い範囲で梅雨の戻りになると思われます。

 しかも、西日本から東海では、雨の予報の日でも気温が30度以上の真夏日を予想していますので、湿度が高い中での暑さとなることから、数字以上に熱中症の危険性が高くなります。

 東京の10日間予報では、傘マークはないものの、黒雲マークの日が多くなり、6月28日以降は、最高気温が30度以上という真夏日の予報が続きます。

 東京では、6月22日に最高気温が22.6度までしか上がらなかった影響もあり、6月23日の最高気温の予報は26度と、夏日をやっと超える程度ですが、その後は、真夏日に向かって日々気温が上昇する見込みです(図4)。

図4 東京の気温変化(6月23日以降はウェザーマップの予報)
図4 東京の気温変化(6月23日以降はウェザーマップの予報)

 関東甲信地方も、空梅雨気味とはいえ、これまでの湿度が比較的低い高温から湿度が高い高温に変わりますので、気温の数字以上に熱中症に対する警戒が必要です。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図4の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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