今週の花散らしの雨は新緑の季節の始まり
令和5年(2023年)の3月の気温
令和5年(2023年)は、3月に入ると、最高気温が氷点下という真冬日を観測する地点はほとんどなくなり、最低気温が氷点下となる冬日を観測する地点も減り、逆に最高気温が25度以上の夏日が出始めました(図1)。
これは、大陸からの寒気の影響を受けにくく、南から暖かい空気が流れ込みやすかったためです。
3月の平均気温は北日本、東日本、西日本ともにかなり高く、昭和21年(1946年)の統計開始以降で北日本と東日本で1位、西日本で1位タイとなっています。
また、東京など全国105地点で、月平均気温の高い方からの1位を更新しました。
東京では、明治8年(1875年)6月からの観測がありますが、これまで、3月の平均気温で一番低かったは、明治18年(1885年)の4.9度、一番高かったのは令和3年(2021年)の12.8度です(図2)。
今年、令和5年(2023年)は3月の平均気温が12.9度と新記録になったのですが、近年は気温が高い年が多くなっています。
19世紀と20世紀の観測では、10.5度を超えたことがなかったのですが、21世紀(2001年以降)では、昨年までの22年間で11回と、半数が10.5度を超えています。
ちなみに、21世紀に入ってから一番低いのは平成23年(2011年)の8.1度ですが、20世紀であれば、平均に近い気温です。
記録的に早いさくらの開花と満開
令和5年(2023年)は、3月に気温が記録的に高かったことなどから、さくらの開花や満開が記録的に早くなっています。
東京では、3月14日に統計のある昭和28年(1953年)以降で、令和2年(2020年)、令和3年(2021年)と並んで、最早タイ記録でさくらが開花しました。
沖縄・奄美のヒカンザクラの開花を除くと開花の一番乗りです。
翌15日には横浜で最早記録タイで咲くなど、各地で記録的な速さでさくらが開花しています(表1)。
4月3日には山形で開花し、これが全国7地点目の最早記録です。東京・横浜など12地点で最早タイ記録ですので、19地点が記録更新ということになります(図2)。
また、さくらが満開になったのは、東京が一番早く3月22日で、平成14年(2002年)の3月21日に次ぐ2位の早さでした。
その後も、北日本を中心に記録的に早い満開が相次ぎ、鹿児島が満開となる前に、仙台や、新潟、長野で満開となっています。
東北南部から東日本、西日本では、桜の満開がすぎ、さくらの見頃期間が過ぎつつあります。
今週後半の雨
4月4日~5日は、高気圧に覆われて全国的に晴れる所が多いでしょう。最高気温は、全国的に平年より高くなり、北日本では平年よりかなり高くなる所もある予想です(図3)。
しかし、6日には、東シナ海で発生した低気圧が日本海を東進するため、西日本から雨が降り出し、7日にはほぼ全国的に雨の見込みです(図4)。
開花直後は多少の雨や風でも桜の花は散りませんが、4月6日~7日に予想される雨は、開花から時間がたっている時の雨ですので、多くの地方では花散らしの雨になりそうです。
花見は、北日本を除いて、今週前半までとなりそうです。
さくらの見頃は終わっても、気温が高い雨ですので、植物の成長を促進させる雨です。
東京の気温変化
東京ではさくらの開花後にちょっとした寒気が南下してきたため花冷えとなり、開花から満開を経て見頃が終わるまでの期間が少し延びています(図5)。
東京の4月7日は、低気圧の通過で雨の予報ですが、気温は平年より高くなっています。
低気圧通過後は、寒気が南下して気温が下がる見込みですが、下がっても平年並みの気温です。
そして、その後は、再び気温が高い日が続く見込みです。
図1、表1、表2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
図3の出典:気象庁ホームページ。
図4の出典:ウェザーマップ提供。
図5の出典:気象庁ホームページと、ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。