Yahoo!ニュース

今週末は花冷えのおかげで開花が記録的に早かった東京でもさくらの最後の見頃

饒村曜気象予報士
目黒川の桜の花筏(写真:イメージマート)

記録的に早いさくらの開花

 令和5年(2023年)は、3月に入ると、最高気温が氷点下という真冬日を観測する地点はほとんどなくなり、最低気温が氷点下となる冬日を観測する地点も減り、逆に最高気温が25度以上の夏日が出始めました(図1)。

図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年12月1日~令和5年3月29日)
図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年12月1日~令和5年3月29日)

 夜は気温が低い地方でも、日中の気温が高くなったことから、さくらの開花が早まり、東京では、3月14日に統計のある昭和28年(1953年)以降で、令和2年(2020年)、令和3年(2021年)と並んで、最早タイ記録でさくらが開花しました。

 沖縄・奄美のヒカンザクラの開花を除くと開花の一番乗りです。

 翌15日には横浜で、翌々日16日には岐阜など、各地で記録的な速さでさくらが開花しています。

 各地のさくら開花日と平年との差をみたのが図2です。

図2 さくら開花日の平年との比較(北海道など開花していない地方はウェザーマップの開花予報との比較)
図2 さくら開花日の平年との比較(北海道など開花していない地方はウェザーマップの開花予報との比較)

 なお、この図では、北海道と青森、岩手、秋田、山形はさくらの開花前ですが、ウェザーマップのさくらの予想開花日をもとに平年との比較を行っています。

 これによると、石垣島地方で平年より遅く、鹿児島県奄美と熊本県・大分県で平年と同日だった以外は、平年より早くなっており、特に北日本で顕著です。

 仙台では3月26日に平年より13日早く、長野では3月28日に平年より14日早くさくらが開花しました。

 また、秋田や札幌でも平年より13日以上早く咲くという予想になっています。

さくらの見頃が花冷えでのびた

 東京では、3月22日に平年より9日早く満開となりました。

 東京ではさくらの開花後にちょっとした寒気が南下してきたため花冷えとなり、開花から満開までの期間はほぼ平年並みでした(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月30日~4月5日は気象庁、4月6日~14日はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月30日~4月5日は気象庁、4月6日~14日はウェザーマップの予報)

 また、満開後にも花冷えがあり、花が散るまでの見頃の期間も少し延びています。

 西日本や東海・北陸地方とは違い、関東地方ではさくらの見頃期間に菜種梅雨に入って雨の日が多くなりました。

 今週末の関東地方は晴れる見込みですが、開花が早かった東京では見頃の期間が少しだけ過ぎています。

 ただ、東京でも見頃が過ぎたというのは、千代田区靖国神社の標本木についての話です。

 近くには、まだ見頃の木がありますし、東京より開花が遅かった千葉県銚子など少し移動すれば見頃の所が多く残っています(図4)。

図4 札幌と仙台、東京都心部、千葉県銚子のさくら見頃予報
図4 札幌と仙台、東京都心部、千葉県銚子のさくら見頃予報

 また、今週末の仙台では満開となりそうな頃であり、さくらの見頃の真っ最中です。

 札幌など北海道のさくらの季節は、もう少し先ですが、それでも平年よりかなり早く、ゴールデンウィーク前には終わりそうです。

高気圧に覆われ概ね晴れの日本列島

 今週末の日本列島は大きな高気圧に覆われ、全国的に晴れて気温が高くなり、東北南部から東日本、西日本ではお花見日和となっているところが多くなりそうです(図5)。

図5 各地の4月1日(土)の天気予報
図5 各地の4月1日(土)の天気予報

 来週前半も晴天が続く見込みですが、来週後半は曇りや雨の所が多くなる見込みです(図6)。

図6 各地の10日間予報(3月30日~4月5日は気象庁、4月6日~8日はウェザーマップの予報で、数値はいずれも最高気温)
図6 各地の10日間予報(3月30日~4月5日は気象庁、4月6日~8日はウェザーマップの予報で、数値はいずれも最高気温)

 再び菜種梅雨になりそうな気配です。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図3の出典:気象庁ホームページと、ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事