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来週は4月の陽気 冬から春への季節変化の一週間

饒村曜気象予報士
札幌市電 雪道のポラリス(写真:イメージマート)

冬型の気圧配置

 週末の日本付近は、西高東低の冬型の気圧配置となって強い寒気が南下する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は2月25日(土)、右は26日(日)の予想)
図1 予想天気図(左は2月25日(土)、右は26日(日)の予想)

 2月24日17時現在、青森県酸ヶ湯で388センチ、山形県肘折で268センチなど、北日本や新潟県の山沿いでは、まだ2メートル以上の積雪がありますが、ここに、新潟県の県境付近で50センチ以上となる降雪が予想されています(図2)。

図2 48時間降雪量の予想(2月25日0時~26日24時)
図2 48時間降雪量の予想(2月25日0時~26日24時)

 日本海側の地方では広く雪が降る見込みですので、大雪や着雪、雪崩などに注意が必要です。

 ただ、真冬と違って冬型の気圧配置は長続きしません。

来週前半は春本番の陽気も

 来週前半は高気圧に覆われて、日本海側を含めて晴れる所が多く、春本番の陽気となる日もある見込みです(図3)。

図3 各地の10日間予報(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日以降はウェザーマップの予報)
図3 各地の10日間予報(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日以降はウェザーマップの予報)

 日中の気温は日ごとに上がり、28日(火)は札幌で4月中旬並みの11度、関東から西は15度を超える見通しです。

 積雪の多い地域では、なだれや融雪洪水が発生しやすくなりますので注意が必要です。

 ただ、昼間は暖かくても朝晩は内陸を中心に冷え込み、一日の気温差がかなり大きくなりますので、こまめに服装等で調節してください。

 さらに、西日本や関東を中心に、花粉が飛びやすい天気になるため、花粉の飛散量も格段に増える見通しなので、しっかりと花粉対策をしてほしいと思います(図4)。

図4 花粉が飛びやすい日
図4 花粉が飛びやすい日

来週後半の太平洋側は雲が多い

 来週後半は3月に入ります。

 3月1日(水)は東・西日本で、一段と気温が高くなりますが、北日本は寒気が南下して寒くなる見込みで、北海道は雪となるでしょう。

 ただ、寒くなるといっても、平年並みの寒さの見込みです(図5)。

図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日~12日はウェザーマップの予報)
図5 札幌の最高気温と最低気温の推移(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日~12日はウェザーマップの予報)

 札幌では、2月26日(日)は最高気温が0度に達しないため真冬日になりますが、それでも平年より高い気温です。

 2日(木)以降は日本付近に前線が停滞し、東日本の太平洋側から西日本の太平洋側では雲が多い日が数日続く見込みですが、2日は広い範囲で雨が降る見込みです。

今冬の真冬日と冬日

 今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。

 令和5年(2023年)1月13日は北日本を通過した低気圧に向かって暖気が北上して4月並みの気温となり、最高気温が25度以上という夏日を観測したのが21地点(全国で気温を観測している914地点の約2パーセント)もありました。

 しかし、その後、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、今冬一番の強い寒気が南下したため、1月25日には真冬日を観測したのが502地点(55パーセント)と、全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。

 また、冬日を観測したのが869地点(95パーセント)と、南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした。

 今冬、真冬日、冬日を観測した地点数が一番多かったのは、現時点まででは1月25日です。

 2月に入ると、強い寒気の南下は北日本どまりで、南岸低気圧が短い周期で通過するようになってきました。

 南岸低気圧が通過するときは、暖気が入りますので、真冬日や冬日を観測した地点数が減少し、その後の寒気南下で増加するという変化をします。

 真冬日や冬日の観測地点数は、減少傾向にあったのですが、バレンタインの頃(2月14日頃)に南下してきたバレンタイン寒波によって大きく増えています。

 しかし、その後は、再び減少傾向にあります(図6)。

図6 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年2月24日)
図6 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年2月24日)

 2月25日から26日の寒気南下で、真冬日や冬日の観測地点数は増えると思われますが、今冬一番の寒波や、バレンタイン寒波の時とは様変わりと思います。

 冬から春への季節変化の一週間になりそうで、体調管理に特に注意したい一週間です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図6の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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