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続く寒暖差の大きな日 バレンタイン寒波南下で寒い週半ばも週末は春の陽気

饒村曜気象予報士
西高東低の冬型の気圧配置と寒気南下に伴う日本海の筋状の雲(2月15日12時)

冬型の気圧配置で寒い一日

 カムチャッカ半島で低気圧が猛烈に発達し、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となって強い寒気が南下しています。

 日本海には寒気の南下を示す筋状の雲がびっしりと並んでいます(タイトル画像参照)。

 北~東日本の日本海側ではまとまった雪が降り、雷を伴ったりふぶく所がありました(図1)。

図1 24時間降雪量(2月14日23時~15日23時)
図1 24時間降雪量(2月14日23時~15日23時)

 北~東日本の太平洋側は晴れる所が多いものの、海上の風が集まってできた2つの線状の雲域(タイトル画像に記入の2つの曲線)がかかっている静岡県や岩手県から宮城県では雲が多くなりました。

 西日本は雲が広がりやすく、日本海側を中心に所々でにわか雪やにわか雨がありました。

 ただ、西高東低の気圧配置といっても、大陸にある高気圧は弱く長続きしません。

 2月16日には、大陸の高気圧が移動性高気圧になって東進し、冬型の気圧配置は西日本から崩れてくる見込みです(図2)。

図2 予想天気図(2月16日9時の予想)
図2 予想天気図(2月16日9時の予想)

 2月17日は晴天域は西日本から広がってくる見込みです。

今冬の冬日・真冬日

 今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。

 令和5年(2023年)1月13日は北日本を通過した低気圧に向かって暖気が北上して4月並みの気温となり、最高気温が25度以上という夏日を観測したのが21地点(全国で気温を観測している914地点の約2パーセント)もありました。

 しかし、その後、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、今冬一番の強い寒気が南下したため、1月25日には真冬日を観測したのが502地点(55パーセント)と、全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。

 また、冬日を観測したのが869地点(95パーセント)と、南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした(図3)。

図3 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年2月15日)
図3 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年2月15日)

 今冬、真冬日、冬日を観測した地点数が一番多かったのは1月25日です。

 2月に入ると、強い寒気の南下は北日本どまりで、真冬日や冬日を観測した地点数が減少しています。

 そして、南岸低気圧が短い周期で通過するようになってきました。

 南岸低気圧が通過するときは、暖気が入りますので、真冬日や冬日を観測した地点数が減少します。

 こうして、真冬日や冬日は増えたり減ったりしますが、2月に入ってからは長期傾向として減っていました。

 ただ、2月14日のバレンタインの頃に南下してきたバレンタイン寒波では、少し真冬に逆戻りです。

東京の最高気温と最低気温

 バレンタイン寒波は長続きせず、今週半ば移動性高気圧におおわれ、晴れてきますが、週末には低気圧が日本列島を縦断する見込むです(図4)。

図4 専門家向け予想天気図(2月17日(金)21時~22日(水)21時、陰影はまとまった降水域)
図4 専門家向け予想天気図(2月17日(金)21時~22日(水)21時、陰影はまとまった降水域)

 現時点では、これまでのような南岸低気圧になるか、少し北を通る日本海低気圧になるかはっきりしませんが、いずれにしても、低気圧の通過によって暖気が入ってくる見込みです。

 そして、来週の初めには再度強い寒気が南下してくる見込みです。

 東京の最高気温と最低気温の推移をみると、2月に入ると寒暖差が非常に大きくなっているのがわかると思います(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(2月16日~22日は気象庁、2月23日以降はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(2月16日~22日は気象庁、2月23日以降はウェザーマップの予報)

 2月10日には最高気温が3.5度と今冬一番の寒さとなりました(今冬二番は1月25日の3.7度)。

 最低気温ではありません。最高気温が3.5度と真冬でもめったにない寒さとなっていますが、2月13日には19.3度と春本番の気温まで上昇しています。

 そして、2月15日~16日は最高気温が10度に届かない見込みですが、2月19日の日曜日の最高気温の予想は18度となっています。

 さらに、2月21日(火)と22日(水)は最高気温が10度と、冬に逆戻りです。

 上空約1500メートルで氷点下6度以下になると、平地でも雪が降る目安となります。

 来週半ばは、この上空約1500メートルで氷点下6度の範囲が、東日本の南海上から九州北部まで広がる予想です(図6)。

図6 上空約1500メートルの気温分布予報(2月21日夜の予想)
図6 上空約1500メートルの気温分布予報(2月21日夜の予想)

 西高東低の冬型の気圧配置の見込みですので、日本海側を中心に雪への警戒が必要ですが、関東から東海、近畿など、普段雪の少ない太平洋側でも、降水現象があれば、雪として降る状態となります。

 このように短い日数で1月の気温から4月の気温の間を往き来するように変化するという、寒暖差の大きい日々が続きます。

 こまめに気温予報をチェックし、適切な服装で体調管理に注意してください。

 雨が降るかどうかといった天気の予報より、気温の予報のほうが易しいことなどから、気温の予報は精度が高い予報です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。

図1、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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