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平年の初冬並みの寒さとなった日本列島 フィリピンの東海上では夏の名残の台風25号発生か

饒村曜気象予報士
フィリピンの東海上の雲の塊(12月8日15時)

一旦緩む冬型の気圧配置

 北日本を中心とした西高東低の気圧配置により、北陸~北日本の日本海側では、雨や雪となっていますが、9日(金)は移動性高気圧が通過しますので、西から冬型の気圧配置が一旦緩みます(図1)。

図1 予想天気図(12月9日9時の予想)
図1 予想天気図(12月9日9時の予想)

 しかし、北日本は寒気の影響が残って雲が取れにくい見込みで、午後は東北の日本海側や新潟を中心に、雨や雪の降る所があり局地的に雷を伴う見込みです。路面の凍結による交通障害や着雪などに注意してください。

 東日本太平洋側や西日本は概ね晴れますが、高気圧の南縁にあたる南西諸島は、湿った空気が流れ込み、10日(土)午前にかけて局地的に激しい雨の降るおそれがありますので、落雷等に注意してください。

 日本列島の気温は、平年並みか平年より高く推移しており、ほぼ平年の初冬の天気となっています。

南の海の熱帯低気圧

 日本列島は冬に入っていますが、フィリピンの東海上では積乱雲の塊ができ始めました(タイトル画像参照)。

 そして、この雲の塊の中から熱帯低気圧が発生する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(12月10日9時の予想)
図2 予想天気図(12月10日9時の予想)

 この熱帯低気圧の存在海域の海面水温は、台風が発達する目安となる27度以上ですので、条件が整えば、台風が発生する可能性があります。

 熱帯域は12月といっても夏が残っています。

 台風になれば、今年の台風は25個となります。

 令和4年(2022年)は、8月までは発生数が少なく、接近数と上陸数はほぼ平年並みに推移していました。

 しかし、9月と10月に台風が多く発生していますので、台風25号が発生すれば、発生数、接近数、上陸数ともに、ほぼ平年並みということになります(表)。

表 令和4年(2022年)12月8日までの台風発生数・接近数・上陸数(接近数は一つの台風で月をまたぐ場合があり、月の値の合計は年の値より大きくなることがある)
表 令和4年(2022年)12月8日までの台風発生数・接近数・上陸数(接近数は一つの台風で月をまたぐ場合があり、月の値の合計は年の値より大きくなることがある)

12月の台風

 資料は少し古くなりますが、筆者が調査した台風の統計では、12月の台風は北緯10度くらいを西進し、フィリピンに上陸することがほとんどです。

 ごくまれに北上するものがありますが、日本の南海上の北緯20度位までしか北上しません(図3)。

図3 12月の台風の平均経路
図3 12月の台風の平均経路

 とはいえ、小笠原諸島は、平成15年(2003年)12月1日に台風21号が、昨年、令和3年(2021年)12月3日に台風21号が接近したように、10年に1個くらいは12月に接近することがありますので油断はできません。

 12月も小笠原諸島は台風シーズンなのです。

図1、図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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