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予報円が非常に大きい台風22号 今季一番の寒さも来週の週明けは台風北上の可能性も

饒村曜気象予報士
台風22号の雲(10月27日21時)

今季一番の寒さ

 10月27日(木)は、移動性高気圧に覆われて晴れたことから、放射冷却によって内陸を中心に冷え込みました。

 最低気温は、釧路で氷点下1.2度、東京都心で8.5度など、北日本や関東を中心にこの秋以降、最も低くなり、福島や宇都宮では平年より早い初霜を観測しました。

 10月27日に最低気温が氷点下の冬日を観測した地点数は206地点(気温を観測している914地点の約23パーセント)と今季最多でした(図1)。

図1 夏日と冬日の観測地点数(10月16~27日)
図1 夏日と冬日の観測地点数(10月16~27日)

 5日前の22日には、最高気温が25度以上の夏日を242地点(26パーセント)が観測していますので、様変わりです。

 日本の東海上に去った移動性高気圧のあとから、上空に寒気を伴った低気圧が北海道に接近しています(図2)。

図2 地上天気図(令和4年(2022年)10月27日18時)
図2 地上天気図(令和4年(2022年)10月27日18時)

 このため、28日(金)は、日本海北部の低気圧からのびる風の収束に伴う雨域によって山陰から北日本の日本海側では昼前後から雨が降り、雷を伴う所もあるでしょう。

 西〜北日本のその他の地域は、概ね晴れる見込みで、上空に南下していた寒気も東海上に去りましたので、週末以降は平年並みの寒さに戻る見込みです。

 週末にかけては西日本や東日本の広い範囲で行楽日和となりそうです。

 日本列島は秋本番ですが、フィリピン近海ではまだ夏が残っています。

台風22号の発生

 10月27日9時にフィリピンの東海上で台風22号が発生しました。

 令和4年(2022年)の前半は台風発生数が平年より少なかったのですが、9月と10月に発生数が多かったことから、現時点においては平年並みの発生数となっています(表)。

表 令和4年(2022年)の台風発生数・接近数・上陸数(接近数は一つの台風で月をまたぐ場合があり、月の値の合計は年の値より大きくなる)
表 令和4年(2022年)の台風発生数・接近数・上陸数(接近数は一つの台風で月をまたぐ場合があり、月の値の合計は年の値より大きくなる)

 台風22号は、海面水温が29度以上という暖かい海域を西進し、ルソン島を通過して南シナ海からバシー海峡に進む見込みです(図3)。

図3 台風22号の進路予報と海面水温(10月28日0時)
図3 台風22号の進路予報と海面水温(10月28日0時)

 台風の進路予報は最新のものをお使いください

 ただ、台風22号の予報円は大きく予想に幅がありますが、週明けには北上する恐れがあります。

 図4は、筆者が昔調査した10月の台風の統計ですが、フィリピンの東の台風は、西進を続けてルソン島に上陸、その後も南シナ海を西進するものと、フィリピン付近から向きを東に変え、本州の南海上を東進するものがあります。予報円が大きいのは、この2つのケースのどちらになるのか絞り切れないためと思われます。

図4 10月の台風の平均経路
図4 10月の台風の平均経路

 沖縄地方に接近する台風は年間7.7個ですが、11月に接近する台風は0.3個です(図5)。

図5 沖縄地方と伊豆諸島・小笠原諸島への平年の月別台風接近数
図5 沖縄地方と伊豆諸島・小笠原諸島への平年の月別台風接近数

 また、伊豆諸島・小笠原諸島に接近する台風は年間5.4個と沖縄地方より少ないのですが、11月に接近する台風は0.3個と沖縄地方と同じ数です。

 つまり、3年に1回は10月末から11月に沖縄地方や小笠原諸島に台風が接近することは珍しいことではありません。

 仮に台風22号が北上してくるとなると、沖縄地方を中心に雨量が多くなるなど影響が出るおそれがあります。

 加えて、今の時季に東進する台風は、速度が速く、遠くにあると思っていても、あっという間に近づきますので、今後の情報に注意してください。

タイトル画像、図3、表の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

図5の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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