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強い台風18号は日本の南海上で停滞から日本の東海上で停滞へ 再び動くと秋本番

饒村曜気象予報士
台風18号の眼(9月29日16時)

動きの遅い台風18号

 日本の東海上から本州、黄海には優勢な高気圧があって、広い範囲で晴れる地域が多くなり、青空が広がっています(図1)。

 図1 予想天気図(9月30日9時の予想)
図1 予想天気図(9月30日9時の予想)

 朝晩の気温はだいぶ秋らしくなってきましたが、30日の日中は全国的にこの時季としては高い気温となり、西日本や東日本では30度近くまで上がる所もあるでしょう。

 一方、沖縄県の南大東島近海には台風18号があって北西に進んでおり、眼がはっきりするほど発達しました(タイトル画像参照)。

 ただ、台風18号は、高気圧に行く手を阻まれ、10月4日にかけて日本の東海上でほとんど停滞する見込みです(図2)。

図2 台風18号の進路予報と海面水温(9月30日0時)
図2 台風18号の進路予報と海面水温(9月30日0時)

 台風18号の進路予報は不確実性が大きく、大きな予報円となっています。最新の台風情報をお使いください

 台風が発達する目安の海面水温は27度ですが、台風18号はこれを少し上回る海域を進む見込みですので、急激な衰弱はないと思われます。

 台風18号は、沖縄県の南大東島近海で発生した9月28日21時の頃は、北東進して日本の南で停滞するとみられていました。

 このため、西~東日本の太平洋側では、台風によって南から暖かくて湿った空気が流入して大気不安定となる状況は続き、局地的な大雨の可能性が高い状態が続くと考えられていました。

 しかし、最新の予報では、台風18号は日本の南を時速15キロくらいで北東進し、日本の南で停滞する予報に変わっていますので、日本付近は北からの乾いた空気が入り、カラッとした晴天になりそうです。

停滞した台風が動くと秋本番

 例年、9月末にもなると上空の強い西風が日本上空まで南下し、台風はその風に流されて北東進するようになります。

 そして、同じ緯度でも、季節が進むにつれ、進行速度は上がってきます(図3)。

図3 台風の緯度別・月別の進行速度
図3 台風の緯度別・月別の進行速度

 9月末であれば、北緯20度から25度では時速20キロくらいでも、北緯30度まで北上すれば30キロくらいに、北緯33度まで北上すれば35キロくらいにあがるというのが台風の統計から言えることです。

 しかし、今年は上空の強い西風が南下してこないため、南大東島近海で発生した台風18号は、北緯33度位に達したころから停滞する予報となっています。

 まるで、8月の迷走台風のようです。

 日本の東海上で停滞した台風18号が再び動き始めるのは、上空の強い西風が南下してくる10月4日の見込みです。

 このとき、寒気の南下に対応して前線を伴った低気圧が北日本を通過し、この低気圧通過後は一段の寒気が南下してくるでしょう。

 つまり、台風が再び動き始めると長かった残暑は終わり、秋本番となるのです。

 各地に週間天気予報をみると、北海道は9月4日から、東北・北陸は5日から、関東では6日からの、いずれも雨が降ったあとに気温が大きく下がって秋本番となっています(図4)。

図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図4 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 南西諸島は、最高気温が30度以上という真夏日が続く予報となっていますが、それ以外に地方では、本格的な秋の気配が見えてきました。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:「饒村曜 昭和55年(1980年)、台風に関する諸統計(進行速度)、研究時報、気象庁」に筆者加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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