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敬老の日を含む三連休を襲った台風14号、次の秋分の日を含む三連休を襲う台風15号

饒村曜気象予報士
タイトル画像 秋分の日に熱帯低気圧が接近する予想天気図(9月23日9時の予想)

敬老の日を含む三連休を襲った台風14号

 令和4年(2022年)の台風14号は、9月14日(水)3時に小笠原近海で発生し、日本の南を北西進しながら発達し、大型で猛烈な台風にまで発達しています。

 台風14号は、その後向きを北に変え、大型で非常に強い勢力で18日(日)19時頃に鹿児島市付近に上陸しました(図1)。

図1 台風14号の経路と最大風速
図1 台風14号の経路と最大風速

 台風は、その後、九州を縦断したあと、進路を北東方向に変えて本州の日本海側を進んでいます。

 このため、19日(月・祝)の敬老の日は、西日本を中心に大荒れの一日となりました。

 台風周辺の暖かくて湿った空気が流入していた東日本の太平洋側や、秋雨前線が停滞していた北海道でも所により大雨が降っています。

 台風14号は、20日(火)には東北を通過して、日本の東で20日午前9時に温帯低気圧に変わりました。

秋本番

 台風通過後の21日(水)は、大陸からの大きな移動性高気圧におおわれましたので、東日本の太平洋側では雲が多かったものの、西日本や北日本は広く秋晴れとなりました。

 これまでの暑さは去り、湿度も低めで爽やかな陽気となっています。

 令和4年(2022年)で最高気温が30度以上の真夏日を一番多く観測したのは、7月31日の725地点で気温を観測している914地点の約79パーセントです(図2)。

図2 猛暑日と真夏日の観測地点数
図2 猛暑日と真夏日の観測地点数

 9月14日でも459地点(約50パーセント)が真夏日でしたが、台風14号通過後の21日は5地点(約1パーセント)と激減しています。

 東京を始め最低気温が今季一番の低さとなっている所が多く、今年の夏は終わり、秋本番になってきました。

 ちなみに、最高気温が35度以上という猛暑日の観測地点の最多は、7月1日の235地点(約26パーセント)です。それだけ、6月末から7月最初の暑さが異常でした。

日本の南海上はまだ夏

 日本列島は秋めいてきましたが、日本の南海上はまだ夏で、熱帯低気圧になりそうな雲の塊がいくつもあります。

 このうち、小笠原近海にある熱帯低気圧は北西進し、秋分の日を含む三連休を襲う可能性があります(図3、タイトル画像)。

図3 予想天気図(9月22日9時の予想)
図3 予想天気図(9月22日9時の予想)

 9月22日(木)は、熱帯低気圧の周辺をまわるように、暖かくて湿った空気が北上してきますので、関東から西の太平洋側を中心に雲が広がり、雨の降る所がある見込みです。

 そして、熱帯低気圧が接近する23日(金・祝)の秋分の日から24日(土)にかけては全国的に雨の降る所が多く、東海地方では大雨となる可能性があります。

 熱帯低気圧が発達すれば台風15号となります。

 現在、東部太平洋赤道域の海面水温が平年より低いラニーニャ現象が発生しています。

 ラニーニャ現象がおきると、台風の発生域が平年より北西側、つまり日本に近い海域にずれてきますので、敬老の日を含む三連休を襲った台風14号のように日本に近い所で台風が発生し、日本に影響する確率が高くなります(図4)。

図4 令和4年(2022年)の台風の発生海域(星印は台風15号になるかもしれない熱帯低気圧の位置)
図4 令和4年(2022年)の台風の発生海域(星印は台風15号になるかもしれない熱帯低気圧の位置)

 過去の統計によると、9月の北緯25度くらい(小笠原近海)の台風は、西進のち北上して東海地方に接近するものが多くなっています(図5)。

図5 9月の台風の平均経路
図5 9月の台風の平均経路

 日本の近海は、季節が進んでいることに加え、台風14号などが海をかきまぜた影響で海面水温が少し下がっていますので、台風が発生しやすい海域といっても、台風まで発達するかどうかは微妙です。

 ただ、台風に発達しなくても、熱帯低気圧が接近して大雨をもたらす可能性が高いということは言えますので、秋分の日を含む次の三連休は、最新の気象情報に注意してください。

【追記(9月22日9時)】

 気象庁は、日本の南の熱帯低気圧が24時間以内に台風になると発表したので、図6を追加し、タイトルを少し変えました。

図6 台風になりそうな熱帯低気圧の進路予報と海面水温(9月22日6時)
図6 台風になりそうな熱帯低気圧の進路予報と海面水温(9月22日6時)

タイトル画像、図3の出典:気象庁ホームページ。

図1、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図5の出典:饒村曜(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計(第2報)進行速度、研究時報、気象庁。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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