台風12号が沖縄県先島諸島を通過、その東に台風13号・14号になるかもしれない2つの熱帯低気圧
夏から秋へ
令和4年(2022年)は、西日本から東北南部まで梅雨明けした6月末から7月の初めは、強まった太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が流入し、晴れて強い日射によって記録的な暑さが続きました。
夏日(最高気温が25度以上の日)、真夏日(最高気温が30度以上の日)、猛暑日(最高気温が35度以上の日)を観測した地点数が急増しています。
群馬県の伊勢崎では、6月25日に最高気温が40.2度、6月29日に最高気温が40.0度となり、観測史上初めて6月に40.0度を超しました。
しかし、7月に入ると下層に暖湿気が流入し、大気が非常に不安定な状態が続きました。
7月上旬から中旬の暑さの2波では、真夏日の観測地点数が全国の過半数を超えましたが、猛暑日はほとんど観測されていません。
東北北部が「梅雨明け」をし、九州から東北南部が「戻り梅雨明け」をした、7月29日以降、夏日と真夏日、猛暑日の観測が増え、暑さの3波となっています(図1)。
7月31日には夏日と真夏日の観測地点数が今年最多となりました。
しかし、40度以上という記録的な暑さは観測されず、猛暑日の観測地点数も7月1日を超えませんでした。
それだけ、6月末から7月最初の猛暑が異常だったのです。
9月に入ると、猛暑日の観測地点数が減少し、真夏日の観測地点数も全国の5割を超えなくなってきました。
異常だった日本列島の夏も終わり、秋に入ったのです。
しかし、日本の南海上は夏のままで、夏の特徴である台風や熱帯低気圧が次々と発生しています。
台風12号がゆっくりと沖縄県先島諸島へ
非常に強い台風12号は、ゆっくり北上を続け、沖縄県の先島諸島にかなり接近しています。台風12号は先島諸島を通過後、東シナ海をゆっくり北上して黄海に達する見込みです(図2)。
先島諸島では13日(火)にかけて、暴風やうねりを伴った高波に、12日(月)は高潮に厳重に警戒してください。また、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫にも警戒してください。
台風12号が通過する先島諸島近海から東シナ海南部は、27~29度と高いことから急速には衰えないと考えられます(図3)。
石垣市は、すでに暴風域に入っていますが、13日(火)の夕方でも暴風域に入る確率が57パーセントもあります(図4)。
石垣市のある先島諸島では、一日半も暴風域に入っている可能性が高いことから、重大な災害が発生する懸念がありますので、厳重な警戒が必要です。
また、石垣島からそれほど離れていない宮古島では、暴風域に入る確率が50パーセントを超えてくるのが13日明け方からです。
それだけ、台風12号の動きが遅いのです。
ちなみに、沖縄本島南部が暴風域に入る確率は2パーセントと低いのですが、低いながらも確率が計算されているのは14日(水)になってからです。
暴風域に入らなくても、強い雨や風がしばらく続きますので、沖縄県では警戒が必要です。
また、ウェーク島近海には熱帯低気圧があって北上を続けていますが、付近の海面水温は、台風発生の目安とされる27度を上回る29度です。
このため、12日(月)にはウェーク島近海で台風13号に発達する見込みです。
台風13号はその後も北上を続け、日本のはるか東を北上して、16日(金)にはアリューシャンの南で温帯低気圧に変わる予想で、日本には直接の影響はないと思われます。
【追記(9月12日10時30分)】
ウェーク島近海の熱帯低気圧は、9月12日9時に台風13号となりました。
問題は、台風12号と台風13号の間にある熱帯低気圧です。
日本の南の熱帯低気圧
台風12号と台風13号になるかもしれない熱帯低気圧の間の日本の南には熱帯低気圧があります(図5)。
現時点では、この熱帯低気圧が台風にまで発達するかどうかもわかりません。
仮に、この熱帯低気圧が台風に発達したとすると、台風14号になり、日本の南海上で台風が3つ並ぶことになります。
この海域の9月の台風は、そのまま北上してくることが多く、そうなると西日本から東日本に影響する可能性がでてきます。
今後の熱帯低気圧の動向にも注意が必要です。
日本の南の海は、まだ夏の状態です。
そして、台風上陸数が一番多いのは9月、大きな被害をもたらした台風が一番多いのも9月ですので、9月は台風に警戒が必要な月です。
タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図4、図5の出典:気象庁ホームページ。