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北日本から北陸で大雨、関東から西日本で猛烈残暑

饒村曜気象予報士
北日本~北陸に大雨、関東~西日本に猛烈残暑をもたらす前線(8月17日9時の予想)

日本海の低気圧

 日本海には前線を伴った発達中の低気圧があって東進しています(タイトル画像参照)。

 この前線に向かって太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が流入していますので、北日本や北陸地方では大気の状態が非常に不安定となり、非常に激しい雨が降って大雨の恐れがあります。

 8月16日3時から17日15時までの36時間予想降水量では、北海道と東北地方の日本海側から西日本の日本海側で多くなり、特に、北海道と東北地方の日本海側から北陸、山陰地方では150ミリを超える雨が降るところもある見込みです(図1)。

図1 予想降水量(8月16日3時から17日15時の36時間予想)
図1 予想降水量(8月16日3時から17日15時の36時間予想)

 東北地方や新潟県では、これまでの大雨により土の中には多量の水分が残っておりますので、少しの雨でも山崩れがけ崩れなどの土砂災害が発生し易くなっています。

 土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してください。また、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。

猛暑日どころか40度超え?

 週明けの8月15日は、西日本を中心に気温が高くなりましたが、日本海の前線に向かった暖かくて湿った空気が流入しているため、16日は東日本や東北南部を中心に猛暑となる見込みです。

 フェーン現象も加わる関東の内陸部では40度に迫る猛烈残暑となるところがある見込みです。

 令和4年(2022年)は、西日本から東北南部まで梅雨明けした6月末から7月の初めは、強まった太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が流入し、晴れて強い日射によって記録的な暑さが続きました。

 夏日(最高気温が25度以上の日)、真夏日(最高気温が30度以上の日)、猛暑日(最高気温が35度以上の日)を観測した地点数が急増しています。

 群馬県の伊勢崎では、6月25日に最高気温が40.2度、6月29日に最高気温が40.0度となり、観測史上初めて6月に40.0度を超しました。

 しかし、7月に入ると下層に暖湿気が流入し、大気が非常に不安定な状態が続きました。

 ときおり、上空に強い寒気が南下し、局地的に猛烈な雨が降り、「記録的短時間大雨情報」が頻繁に発表となっています。

 そして、九州から東北南部は梅雨のような天気(戻り梅雨)となりましたので、夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数は減っています。

 東北北部が「梅雨明け」をし、九州から東北南部が「戻り梅雨明け」をした、7月29日以降、夏日と真夏日、猛暑日の観測が増えています(図2)。

図2 全国の夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(令和4年(2022年)6月~8月)
図2 全国の夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数の推移(令和4年(2022年)6月~8月)

 そして、今回3回目の猛烈な暑さ、立秋(8月7日)を過ぎていますので、関東~西日本を中心とした猛烈残暑の恐れがあります。

 今年最多の猛暑日観測地点数は7月1日、最多の夏日・真夏日観測地点数は7月31日ですが、北日本の雨により、夏日、真夏日、猛暑日の観測地点数は、今年最多とはならない見込みです。

 それだけ、6月末から7月最初の猛暑が記録的だったのです。

 東京では、令和4年(2022年)の最高気温が35度以上の猛暑日が、8月3日で13回目と、明治8年(1875年)の統計開始以来の最多記録である平成7年(1995年)と平成22年(2010年)に並びました。

 そして、8月9日の最高気温35.7度で14回目と新記録になり、歴代最多日数を更新し、8月10日の35.3度で15回目とさらに記録を更新しています。

 そして、8月16日は16回目と、更なる記録更新となりそうです(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(8月16~22日は気象庁、8月23~31日はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(8月16~22日は気象庁、8月23~31日はウェザーマップの予報)

 こまめな水分補給を行うなど、熱中症対策に心掛けてください。

まだまだ続く暑さ

 東日本から西日本の猛烈残暑は、前線が南下しますのでいったんおさまりますが、週末は再び暑さがぶり返す見通しです。

 気象庁では、九州や沖縄では、21日ごろからの5日間ほどはかなり高くなる見通しという「高温に関する早期天候情報」を発表し、農作物や家畜の管理等に注意するよう呼びかけています。

 健康管理に注意する期間は、まだまだ続きます。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典;ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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