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梅雨がないとされる北海道を除いて全国で例年とはちょっと違う梅雨入り

饒村曜気象予報士
全国的に梅雨入りした日の雲(令和4年(2022年)6月15日15時)

東北の梅雨入り

 令和4年(2022年)の沖縄地方は、平年より6日早い5月4日に梅雨入りし、その後、鹿児島県奄美地方で平年より1日早い5月11日に梅雨入りをしました。

 しかし、例年とはちょっと違い、太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、梅雨前線が沖縄付近からなかなか北上しませんでした。

 このため、九州南部など各地で梅雨入りが大幅に遅れました。

 関東甲信地方で平年より1日早い6月6日に梅雨入りしましたが、この時も、梅雨前線は沖縄付近にあり、梅雨前線による梅雨入りではありません。

 オホーツク海高気圧からの冷たい空気の流入が続き、雨や曇りの日が続いたことによる変則的な梅雨入りでした。

 沖縄・奄美に次いで、関東甲信が3番目に梅雨入りするのは、平成17年(2005年)以来、2回目ですが、前回は4番目の九州南部より1日早いだけでした。

 ほぼ一斉の梅雨入りといえますが、今年は、九州南部等より5日も早い梅雨入りで、非常に珍しいことでした。

 6月に入って、関東地方を中心に、ひょうによる被害が相次いだのも、太平洋高気圧が弱いことで、上空に北から寒気が南下してきたことが原因の一つです。

 しかし、ここへきて、太平洋高気圧が強まって梅雨前線が北上したことで、西日本から東日本で梅雨入りが、相次いでいます。

 そして、6月15日には東北南部と東北北部が梅雨入りをし、これで梅雨がないとされる北海道以外の全国で梅雨となりました(表)。

表 令和4年(2022年)の梅雨入りと平年の梅雨入り・梅雨明け
表 令和4年(2022年)の梅雨入りと平年の梅雨入り・梅雨明け

 北海道を除く全国で梅雨となった6月15日の天気図をみると、日本列島の南岸にはほぼ東西にのびる梅雨前線が、その北側には上空に寒気が入っていることを示す小さな低気圧があります(図1)。

図1 地上天気図(令和4年(2022年)6月15日15時) 
図1 地上天気図(令和4年(2022年)6月15日15時) 

 ただ、気象衛星の雲からみてわかるように、梅雨前線による雲は、隙間の多い雲です(タイトル画像参照)。

晴れる所が多い梅雨前半

 6月15日(水)は全国で梅雨となりましたが、太平洋高気圧の北への張り出しもまだ弱く、梅雨前線も再び沖縄付近に南下しています。

 このため16日(木)は、南西諸島と北日本では雨の降る所が多く、雷を伴う所もありますが、東~西日本は朝晩を中心に所によりにわか雨があるものの、晴れ間が多い予報となっています(図2)。

図2 6月16日(木)と17日(金)の天気予報
図2 6月16日(木)と17日(金)の天気予報

 また、17日(金)も、傘マーク(雨)があるのは一部地域で、お日様マーク(晴れ)の多い天気予報となっており、晴れる所が多い梅雨前半です。

 ウェザーマップが発表している16日先までの天気予報でも、東京は16日(木)から20日(月)まではお日様マークがあります(図3)。

図3 東京の16日先までの天気予報
図3 東京の16日先までの天気予報

 そして、来週は、降水の有無の信頼度が5段階のうち一番低いEや、二番目に低いDが多い予報ですが、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く予報です。

 これから気温が30度くらいまで上がる日が続きますので、来週は、梅雨空と蒸し暑さが続く一週間になりそうです。

沖縄の梅雨明け

 季節が進むにつれ、梅雨前線が北上することに対応し、沖縄・奄美で梅雨明け、西日本から東日本、および東北地方では、梅雨本番となります。

 「沖縄で梅雨明け間近は西~東日本での本格的な梅雨の始まり」とよく言われますが、ことし、令和4年(2022年)もそうなりそうです。

 沖縄の平年の梅雨明けは、6月21日ですが、梅雨に関する統計がある、昭和26年(1951年)以降で、一番早い梅雨明けは、平成27年(2015年)の6月8日、一番遅い梅雨明けは、令和元年(2019年)の7月10日です(図4)。

図4 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間)
図4 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間)

 71年間で、一番早い年も、一番遅い年も最近であるということは、近年、年による変動が大きくなっていることを示しています。

 ウェザーマップの16日先までの那覇の天気予報によると、傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)があるのは6月19日までです。

 6月19日からお日様マーク(晴れ)が、20日からは白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)が続きます(図5)。

図5 那覇の16日先までの天気予報
図5 那覇の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が、5段階で一番高いAが多い予報ですので、沖縄は6月19日前後、平年(6月21日)より少し早い梅雨明けとなりそうです。

 梅雨入りが早い沖縄・奄美では、来週早々にも梅雨明けの可能性がでてきましたが、その他の地方は、これから約1ヶ月、雨の季節が続きますので、気象情報等に注意し、警戒してください。

タイトル画像、図2、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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