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平年の3倍の雨量の沖縄は、いつ梅雨明け?関東甲信等はいつ梅雨入り?

饒村曜気象予報士
沖縄本島の記録的短時間大雨(令和4年5月31日12時20分)

沖縄県の梅雨前半

 令和4年(2022年)の沖縄県は、5月4日に平年より6日早く梅雨入りしました(表)。

表 梅雨入りと梅雨明け(令和4年(2022年)と平年)
表 梅雨入りと梅雨明け(令和4年(2022年)と平年)

 そして、5月28日には宮古島市で1時間に120ミリ以上、5月31日には沖縄本島・南城市で1時間に約120ミリという記録的な雨が降り、記録的短時間大雨情報が発表となりました。

 梅雨入り以降、梅雨前線が沖縄付近からほとんど動かなかったため、5月4日から5月30日までの雨量は、那覇で590ミリと平年の2.65倍となるなど、平年の約3倍も降っています(図1)。

図1 令和4年(2022年)5月4日から31日の降水量と日照時間
図1 令和4年(2022年)5月4日から31日の降水量と日照時間

 また、日照時間は平年の半分しかありませんでした。

 月が替わりましたが、梅雨前線が沖縄付近からほとんど動かないと予想されています。

 このため、6月2日は、低気圧が接近する北日本はくもりや雨となり、雷を伴う所もある見込みですが、西日本は晴れとなり、東日本も晴れる所が多くなります(図2)。

図2 予想天気図(6月2日9時の予想)
図2 予想天気図(6月2日9時の予想)

 しかし、南西諸島は梅雨前線が停滞するため雨が降り、雷を伴って激しく降る所もあるでしょう。

 これまで多くの雨が降っていますので、土砂災害などに注意・警戒が必要です。

沖縄の梅雨明けは?

 沖縄の平年の梅雨明けは、6月21日ですが、梅雨に関する統計がある、昭和26年(1951年)以降で、一番早い梅雨明けは、平成27年(2015年)の6月8日、一番遅い梅雨明けは、令和元年(2019年)の7月10日です(図3)。

図3 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間)
図3 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)以降の72年間)と梅雨明け(昭和26年(1951年)以降の71年間)

 71年間で、一番早い年も、一番遅い年も最近であるということは、近年、年による変動が大きくなっていることを示しています。

 ウェザーマップの16日先までの那覇の天気予報によると、6月7日から8日にお日さまマーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)がありますが、6月14日までは、ほとんどの日で傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)です(図4)。

図4 那覇の16日先までの天気予報
図4 那覇の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が、5段階で一番低いEや、二番目に低いDが多い予報ですが、6月15日以降はお日さまマークと白雲マークですので、この頃に梅雨明けしそうです。

 今年の沖縄の梅雨明けが6月15日の場合は、平年より1週間ほど早い梅雨明けとなります。

関東甲信等の梅雨入り

 季節が進むにつれ、梅雨前線が北上することに対応し、沖縄・奄美で梅雨明け、西日本から東日本、および東北地方では、梅雨本番となります。

 「沖縄で梅雨明け間近は西~東日本での本格的な梅雨の始まり」とよく言われます。

 昨年、令和3年(2021年)もそうでした。

 ウェザーマップの16日先までの東京の天気予報によると、6月5日から7日には、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)がありますが、その後の4日間はお日さまマーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)です(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 このため、6月5日に梅雨入りすることはなさそうです。

 降水の有無の信頼度が、5段階で一番低いEや、二番目に低いDが多い予報ですが、早ければ黒雲マークや傘マークが続く6月12日頃に梅雨入りする可能性があります。

 関東甲信が6月12日に梅雨入りした場合は、平年より遅い梅雨入りとなります。

 関東甲信だけでなく、梅雨前線がしばらく北上してこないことから、西日本から東日本の梅雨入りは、平年より遅くなりそうです。

線状降水帯の予報

 線状降水帯による大雨によって毎年のように甚大な被害が引き起こされており、気象庁では令和12年(2030年)までの10年計画で、早め早めの防災対応に直結する予測として「線状降水帯を含む集中豪雨の予測精度向上」に取り組んでいます。

 それだけ難しい技術ですが、被害軽減は喫緊の課題です。

 このため、令和12年(2030年)まで待つことなく、完成した技術を用いた情報の発表を計画し、その第1弾が、昨年、令和3年(2021年)6月17日より始まった「顕著な大雨に関する情報」です。

 しかし、これは発生の確認情報であって予報ではありません。

 予報は、今年6月1日から始まった第2弾の「線状降水帯の半日前予報」からです。

 早めの避難につなげるため、例えば、「半日後に九州北部で線状降水帯が発生」という予報が提供されますが、まだまだ精度が低い情報です。

 このため、世界最高性能のコンピュータ「富岳」を使うなど、気象庁だけでなく多くの大学や研究機関等が協力して精度向上を目指しています。

 この「線状降水帯の半日前予報」は、当面は「九州北部」など国内を11の地域に分けての発表ですが、令和6年(2024年)には都道府県単位、令和11年(2029年)には市町村単位での発表が計画されています。

祖父母にネットで調べて電話を

 「線状降水帯の半日前予報」のように、新しい情報が次々に発表となっています。

 このような新しい情報も含め、テレビなどのマスメディアでは伝えきれない大量の情報が氾濫しています。

 また、きめ細かい防災情報がインターネット等で提供されていますので、取りに行けば情報が入手できる時代となっています。

 取りにいっても情報が多すぎて使いこなせないなどの問題があっても、自分の身を守るのに役立つ情報が、どこかにある時代になっています。

 とはいえ、これらは、そもそもインターネット等を使いこなせない高齢者にとっては、非常に高いハードルです。

 そこで提案です。

 祖父母など、親しい高齢者の住んでいる場所の防災情報を、インターネット等で調べ、電話をしてみてはどうでしょうか。

 最新の道具を使って、自分のために調べてくれた孫などからの電話は、うれしいと思いますし、この積み重ねが減災につながるのではないかと思います。

 梅雨期間中に一度、祖父母などの親しい高齢者に電話してみませんか。

タイトル画像、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図1、図2、表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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