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週明けは、全国的に開花を促す「催花雨(さいかう)」、東京のさくら開花予想は3月19日

饒村曜気象予報士
さくらのイメージ(写真:アフロ)

日本海の前線

 令和4年(2022年)3月12~13日の土日に晴天をもたらした高気圧が日本の東海上に去り、日本海には前線を伴った低気圧があります(図1)。

図1 予想天気図(左は14日9時、右は14日21時の予想)
図1 予想天気図(左は14日9時、右は14日21時の予想)

 このため、週明けの3月14日(月)は、南西諸島は概ね晴れますが、その他の地方は雲が広がりやすく、東北から東日本、近畿は午前中を中心に、雨の降る所が多いでしょう。

 また、中国・四国・九州地方は、朝方の雨だけでなく、短い周期で次の低気圧が接近するため、夕方以降も雨の降る見込みです。

 そのため、前線に向かった暖かい空気が流入し、全国的に気温が高くなっています。雪解けも進むため、北日本の多雪地帯では、なだれや土砂災害などに注意してください。

 令和4年(2022年)は、西高東低の冬型の気圧配置が続いて強い寒気が南下し、全国的に寒い日が続きました(図2)。

図2 令和4年(2022年)の真冬日と冬日の観測地点数
図2 令和4年(2022年)の真冬日と冬日の観測地点数

 日最高気温が氷点下という真冬日は、気温を観測している914地点のうちの20パーセントにあたる183地点を超すことが度々ありました。

 しかし、2月下旬からは10パーセントを下回るようになり、ここ数日はゼロとなっています。

 また、日最低気温が氷点下という冬日も、全国の80パーセントを超す日もあったのですが、2月下旬からは60パーセント前後となり、この数日は40パーセントを下回っています。

 2月末から真冬日や冬日を観測した地点数が大きく減少したのは、西高東低の冬型の気圧配置がゆるみ、寒気の南下が弱まってきたからで、いよいよ、本格的な春到来です。

東京と札幌の最高気温と最低気温

 東京の最高気温は、2月末から平年より高い状態が続いていましたが、3月8日には8.0度と15日ぶりに10度を下回りました(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁、3月21日~29日はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁、3月21日~29日はウェザーマップの予報)

 3月8日は、関東の南海上に発生した小さな低気圧が寒気を呼び込んだため、関東地方だけ平年より寒くなりました。

 しかし、その後は平年より高い日が続き、3月下旬まで平年より高くなる見込みです。

 最低気温も同じような経過をとり、下旬にはほぼ平年並みになりますが、その平年並みは、気温が一番低い1月下旬よりかなり高い値です。

 寒さと大雪が続いていた札幌も、3月に入ってからは、最高気温が平年より高い日が続き、寒気が入ってきても平年並みとなっています(図4)。

図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁、3月21日~29日はウェザーマップの予報)
図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁、3月21日~29日はウェザーマップの予報)

 そして、週末にかけて平年より低くなりますが、その後、平年より高くなる見込みです。

 最低気温も、同じような経過をたどります。

催花雨(さいかう)

 週明けの3月14日のほぼ全国的な雨は、これまでの冷たい雨と違って、気温が高い中での雨ですので、さくらの開花を促す「催花雨(さいかう)」ということができます。

 今年の冬は、12月後半と1月は寒くなっていますので、さくらの開花を促す「休眠打破」と呼ばれる現象は、ほぼ平年並みと考えられます。

 そして、さくらの花芽の成長に必要な気温は、3月にはいると平年より高くなり、この先も暖かいと予想されます。

 これらを考慮すると、開花は平年より早めとなりそうです。北海道は気温が高い予想で、早い開花が見込まれます(図5)。

図5 さくら開花前線と東京の開花・満開確率グラフ(ウェザーマップによる)
図5 さくら開花前線と東京の開花・満開確率グラフ(ウェザーマップによる)

 ウェザーマップによると、奄美・沖縄を除くと、全国で一番早い開花は、東京の3月19日で、福岡・熊本・宮崎の3月20日が続きます。

 寒かった冬も終わり、さくらの季節の到来です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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