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沖縄・奄美地方に続き、来週早々にも九州南部で梅雨入りか

饒村曜気象予報士
沖縄付近の東西にのびる雲の帯(5月6日15時)

沖縄・奄美地方の梅雨入り

 令和3年(2021年)5月5日に、沖縄地方と鹿児島県奄美地方が梅雨入りをしました。

 沖縄地方では平年より5日早く、奄美地方では平年より7日早い梅雨入りです(表1)。

表1 令和3年(2021年)の梅雨入り
表1 令和3年(2021年)の梅雨入り

 ただ、沖縄・奄美地方より北で前線が停滞しがちであることから、沖縄・奄美地方は、梅雨入りしたとしても空梅雨気味です(図1)。

図1 予想天気図(5月7日9時の予想)
図1 予想天気図(5月7日9時の予想)

 また、気象庁が5月6日に発表した1ケ月予報によれば、沖縄・奄美地方の降水量は、ともに、少ない可能性が40パーセント、並みの可能性が40パーセントと、降水が多い可能性は20パーセントしかありません(表2)。

表2 1ケ月予報(5月6日気象庁発表)
表2 1ケ月予報(5月6日気象庁発表)

 つまり、沖縄・奄美地方は空梅雨気味という予報になっています。

 九州南部で降水量が多い可能性が50パーセントあるのとは大きな差です。

九州南部の梅雨入り

 ウェザーマップの鹿児島の16日先までの天気予報では、5月10日以降、13日間連続で傘マーク(雨)です(図2)。

図2 鹿児島の16日先までの天気予報
図2 鹿児島の16日先までの天気予報

 しかも、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAや、2番目に高いBが多く含まれての傘マークです。

 傘マークのない8日は黒雲マーク(雨の降る可能性が高い曇り)で、降水の有無の信頼度は下から2番目に低いDです。

 さらに、9日もお日様マーク(晴れ)がありますが、黒雲マークもあり、降水の有無の信頼度は一番低いEです。

 この予報を見る限り、九州南部は来週早々にも梅雨入りしそうです。

 場合によっては、今週末に梅雨入りということもありえます。

 沖縄地方の梅雨入りから20日遅れた5月30日が九州南部の平年の梅雨入りです(図3)。

図3 九州南部の梅雨入り
図3 九州南部の梅雨入り

 ただ、九州南部で梅雨入りが一番早かったのは5月1日です。

 昭和31年(1956年)のことですが、この年は、沖縄地方が4月28日、奄美地方が4月30日と、梅雨入りが異常に早い年でした。

 令和3年(2021年)の九州南部の梅雨入りは、すでにこの記録は更新できませんが、それでも平年よりかなり早い梅雨入りになりそうです。

空梅雨が心配な沖縄

 那覇の16日先までの天気予報をみると、5月11日以降は、お日様マークと白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が続きます(図4)。

図4 那覇の16日先までの天気予報
図4 那覇の16日先までの天気予報

 梅雨前線が北上して九州南部が早く梅雨入りをすると、九州南部での大雨災害が心配となりますが、同時に、沖縄では空梅雨となって夏場の水不足が心配となります。

 災害がおきるほどの雨は困りますが、適度な量の梅雨の雨は、沖縄の貴重な水資源になっています。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表1の出典:気象庁ホームページ。

図3、表2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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