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「かなり温かい来週」と「かなり寒くなる再来週」

饒村曜気象予報士
本州を挟んだ2つの渦巻き(12月5日9時の風と雨の予想)

ゆるんだ冬型の気圧配置

 今週は北日本を中心とした冬型の気圧配置となり、寒気が南下したことで寒くなりましたが、その冬型の気圧配置がゆるんできました。

 大陸から高気圧が張り出してきますが、週末は本州を挟んで2つの低気圧が通過するため、北陸と関東では雲が多く、所によって雨が降るところもあって、気温が上がらない予報です(図1、タイトル画像参照)。

図1 予想天気図(12月5日9時の予想)
図1 予想天気図(12月5日9時の予想)

 特に関東地方は寒い日になりそうです。

 しかし、これらの低気圧が通過後の来週は、大陸からの高気圧に覆われ、晴れて気温が上昇する見込です。

2週間気温予報

 気象庁は、2週間先までの気温予報を、毎日14時30分にホームページで発表しています。

 1週間先までは日毎の予報ですが、8日先から12日先までの予報は、その日を含む5日間(前後2日)の平均の予報です。

 これは、1週間より先になると誤差が大きくなるからです。

 図2は、12月4日14時30分に発表した予報で、12月12日から12月16日までの5日間平均気温です。

図2 2週間先までの気温予報分布図(12月4日14時30分発表)
図2 2週間先までの気温予報分布図(12月4日14時30分発表)

 これによると、東日本と近畿で平年より高くなっています。

 しかし、気象庁のホームページをクリックしてゆくと、日毎の地方別の気温予報がでて来ますが、イメージが少し変わります(図3)。

図3 日毎の地方別の2週間先までの気温予報(12月4日14時30分発表)
図3 日毎の地方別の2週間先までの気温予報(12月4日14時30分発表)

 12月14日の気温は、図2で示すように、東日本と近畿地方で平年より高いのですが、14日より前は全国的に気温が高く、非常に高い時もあります。

 また、14日より後は気温が低いところが出てきます。

 これは、季節はずれの暖かさになった後、14日頃に今季一番の寒気が南下してくるからです。

 日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。

 この気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気です。

 12月のはじめは、上空約5500メートルで氷点下36度以下の非常に強い寒気が周期的に北海道を通過しましたが、氷点下30度以下の強い寒気は北海道から東北北部までしか南下しませんでした。

 しかし、来週は、氷点下30度線も北海道の北まで北上し、全国的に暖かくなるのですが、14日には再び南下してきます。

 しかも、14日夜には500hPaで氷点下39度以下という、今冬一番の寒気が北海道に南下してきます(図4)。

図4 上空約5500メートルの気温(12月14日夜)
図4 上空約5500メートルの気温(12月14日夜)

 また、氷点下30度という寒気が東北から北陸まで南下する予報です。

 北日本や北陸では大雪に警戒しなくてはならないかもしれません。

 さらに、地表面付近の上空約1500メートルで氷点下12度以下の寒気が北日本から北陸に、氷点下6度以下の寒気が寒気から西日本を覆う予想です(図5)。

図5 上空約1500メートルの気温(12月14日夜)
図5 上空約1500メートルの気温(12月14日夜)

 平地で雪を降らせる目安が氷点下6度ですので、関東から西日本でも雪に警戒すべき気温を予想しています。

東京の気温変化

 東京の最高気温は、平年より低い温度で12月に入ったものの、週末以降は平年より高い日が続きそうです。

 しかし、もはや11月の暖かさには及びませんし、14日頃からは平年並みに下がってくる予報です(図6)。

図6 東京の最高気温と最低気温の推移(12月5日から11日は気象庁、12月12日から20日はウェザーマップの予報)
図6 東京の最高気温と最低気温の推移(12月5日から11日は気象庁、12月12日から20日はウェザーマップの予報)

 一方、最低気温はほぼ平年並みで12月に入りましたが、14日以降は平年より低くなり、真冬並みの0度となる予想です。

 「かなり温かい来週」から、「かなり寒くなる再来週」へと、短い期間で気温が急降下しますので、体調管理に十分注意が必要な師走となります。

タイトル画像、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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