秋台風らしからぬ台風14号が週間天気予報を一変

日本の南海上の台風14号の雲(10月5日15時)

一変した週間天気予報

 令和2年(2020年)の10月は、当初、東日本の太平洋側から西日本にかけて、高気圧におおわれて晴れの日が続くという予報でした。

 10月2日の週間天気予報では、東京・大阪・福岡などで晴れや曇りの天気が続く週間予報でした。

 そして、降水確率は10パーセントで信頼度は3段階で一番良いAでした。

 しかし、10月5日9時に日本の南海上で台風14号が発生すると、状況が大きく変わり、週間予報に曇や雨の日が多くなっています(図1)。

図1 大きく変わった週間天気予報(10月2日と10月5日)
図1 大きく変わった週間天気予報(10月2日と10月5日)

 台風14号によって、日本の南海上にある暖かくて湿った空気が北上し、東日本から西日本の太平洋側に前線が発生することから、今週は広い範囲で雨の日が予報されています。

 しかし、信頼度は、3段階で一番低いCです。

 これは、台風の進路予報が非常に難しいことも反映しています。

難しい進路予報と大きな予報円

 台風が発達する目安は、「台風の中心付近の海面水温が27度」です。

 台風14号は、この27度を大きく上回る30度の海域にあり、台風の予想進路上の海面水温も27度以上です。

 このため、台風14号は960ヘクトパスカルの強い台風まで発達する予報です(図2)。

図2 台風の進路・強度予報(10月5日21時の予報)
図2 台風の進路・強度予報(10月5日21時の予報)

 台風の進路予報は最新のものをお使いください。

 ただ、台風14号の進路予報は非常に難しく、これを反映して予報円は非常に大きくなっています。

 5日後の10月10日(土)21時の予報円は、東京から鹿児島県奄美大島まで含んでいます。

 週末の台風14号は、東京へ来ているかもしれないし、大阪、福岡、奄美大島かもしれない。

 あるいは、あまり北上せず、まだ日本の南海上にあるかもしれないという予報です。

 予報円が非常に大きいことから、ものすごい台風が接近すると間違って受け取って早めに警戒する人が少なからずいますが、これはこれで正しい行動です。

 予報円が非常に大きいことは、予報が非常に難しい台風で、どこにくるのかわからないことから早めに警戒が必要であるからです。

 予報円が採用された昭和57年(1982年)当時、十分なPRが必要であるが、一部の人が間違って受け取っても、取るべき行動は同じになるというのが、予報円のメリットの一つと考えられていました。

台風14号といわゆる秋台風

 台風14号については、秋台風なので、接近速度が速く、あっという間に近づくと考える人がいます。

 秋の台風には違いがありませんが、いわゆる秋台風とは違っている台風です。

 10月の台風は、ほとんどが緯度10度から20度で発生しています(図3)。

図3 台風の月別・緯度別発生数(昭和26年(1951年)~52年(1977年))
図3 台風の月別・緯度別発生数(昭和26年(1951年)~52年(1977年))

 秋台風は、秋になっても海面水温が高い低緯度で十分発達し、西進のち北上し、偏西風にのって北東進して日本へ接近してきます。

 日本に接近するときには偏西風に乗って速い移動速度ということが多いのです。

 しかし、台風14号の発生緯度は北緯22.2度と、秋の台風の割には高緯度の日本の近くで発生しています。

 この時点で、いわゆる秋台風とは違っています。

 台風14号は発達しながらゆっくり西進し、沖縄や西日本に接近しますので、いわゆる秋台風のように接近速度は速くありません。

 ただ、台風14号が、いわゆる秋台風と似ている点もあります。

 それは、秋台風が日本列島にある前線を刺激して大雨を降らせることです。

 現在、日本列島から前線が消えていますが、台風14号の周辺の風によって、日本の南海上にある暖かくて湿った空気が北上し、東日本から西日本の太平洋側に前線が形成される見込みです。

 つまり、台風14号が接近したときには、秋台風でよくおきる、前線と台風という危険な組み合わせとなる可能性があります。

 台風が離れていても前線によって広い範囲で大雨が降り、その大雨が降った地域に台風本体の雨が加わって大災害が発生する懸念があります(図4)。

図4 雨と風の分布予報(10月8日9時の予報)
図4 雨と風の分布予報(10月8日9時の予報)

 台風14号は、夏台風のような難しい進路予報と、秋台風のような大雨の危険性を同時に持った台風ですので、最新の気象情報を入手し、十分な警戒が必要です。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

図3の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計―月別発生数・存在分布・平均経路、研究時報、気象庁。