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日本海の大きな渦の周りを寒気が南下も一時的

饒村曜気象予報士
日本海北部の雲の渦巻き(令和2年(2020年)2月17日15時)

日本海北部の雲の渦

 日本海北部には雲の渦があり、東へ進んでいます(タイトル画像参照)。

 地上天気図でも、この渦の真下に前線を伴っていない低気圧があり、普通の温帯低気圧というより台風に似ています(図1)。

図1 地上天気図(2月17日15時)
図1 地上天気図(2月17日15時)

 この渦をまわるように強い寒気が西日本に南下し、2月17日(月)には、暖冬で初雪が遅れていた九州各地で初雪を観測しました(表)。

表 今冬の九州の初雪
表 今冬の九州の初雪

 各地とも、初雪は平年よりかなり遅く、しかも、九州南部の鹿児島と宮崎を除いて、過去の最晩記録を大きく更新していることからも、九州を含む西日本は、記録的な暖冬であったことがわかります。

 同じ2月17日に、東日本の太平洋側では南よりの風が吹いて気温が上昇し、東海地方では16から17日にかけて春一番が吹いています。

 関東地方は東京で強い南よりの風が吹かなかったので春一番は見送りとなりましたが、西日本で真冬なのに、東日本の太平洋側は春の様相と、狭い日本で極端な差がありました。

 2月18日には東日本の太平洋側も、西日本に南下した寒気が移動してきますので、次第に冬の様相に変わってきます。

北日本を雲の渦が通過

 日本海北部の低気圧は、次第に進路を東南東に変えて2月18日の日中に北日本を通過する見込みです。

 このため、低気圧の通過時には北日本で暴風が吹き荒れ、通過後は西高東低の冬型の気圧配置が強まることで日本海側の地方で山沿いを中心に大雪となる恐れがあります(図2)。

図2 雨と風の分布予報(2月18日12時)
図2 雨と風の分布予報(2月18日12時)

 気象庁が2月18日に暴風警報や大雪警報を発表する可能性があるとしているのは、図3で示す地域ですので、これらの地域では十分な警戒をお願いします。

図3 暴風警報発表の可能性(上)と大雪警報の発表の可能性(下)(2月18日朝から夜遅く)
図3 暴風警報発表の可能性(上)と大雪警報の発表の可能性(下)(2月18日朝から夜遅く)

 また、西日本や東日本の日本海側を中心に、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。竜巻などの激しい突風や落雷、降ひょうに注意してください。

長続きしない寒気南下

 日本海北部の低気圧が通過後、西高東低の冬型の気圧配置となり、北陸地方で24時間に60センチ程度のまとまった降雪がある見込みです(図4)。

図4 24時間予想降雪量(2月17日21時~18日21時)
図4 24時間予想降雪量(2月17日21時~18日21時)

 積雪や路面の凍結による交通障害に警戒・注意し、なだれや着雪に注意してください。

 強い寒気の目安の一つが、上空約5500メートルの気温が氷点下36度です。

 2月17日夜に日本海西部にあった氷点下36度以下の寒気は、24時間後には北海道の東海上に移動する見込みです(図5)。

図5 上空約5500メートルの気温分布予想図(2月18日夜の予想)
図5 上空約5500メートルの気温分布予想図(2月18日夜の予想)

 このため、非常に強い寒気ですが、影響は長続きしません。

 福岡の最高気温と最低気温の予報を見ると、寒気が南下してきた数日はともに平年値を下回ります。

 しかし、その後は平年値を上回る日が続いて、2月が終わり、そのまま春本番となりそうです(図6)。

図6 福岡の最高気温と最低気温(2月18~24日は気象庁、2月25日~3月4日はウェザーマップの予報)
図6 福岡の最高気温と最低気温(2月18~24日は気象庁、2月25日~3月4日はウェザーマップの予報)

タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:ウェザーマップ資料に著者加筆。

図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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