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週明けは「引きの西高東低」の気圧配置

饒村曜気象予報士
日本付近で冬型の気圧配置のときの雲(令和2年(2020年)1月31日15時)

週明けの寒気の南下

 令和2年(2020年)の1月は、本州の南岸に低気圧が停滞したり、日本海で低気圧が発達したりと、まるで3~4月のようでした。

 しかし、2月は、平年の冬のような寒さで始まりました。

 2月2日(日)は、午後から西高東低の冬型の気圧配置が一時的に崩れ、寒気の南下が弱まりますが、日本海で発生した低気圧が週明けの北日本を通過します(図1)。

図1 予想天気図(2月3日21時の予想天気図)
図1 予想天気図(2月3日21時の予想天気図)

 このため、週明けの3日(月)以降、再び強い寒気が南下してきます。

 それも、今冬一番の寒気です。

 上空約5500メートルの気温分布をみると、冬季の北極上空にできた氷点下42度以下の冷たい空気の塊が分裂し、そのうちの一つがオホーツク海まで南下してきます(図2)。

図2 上空約5500メートルの気温分布(2月6日朝の予想)
図2 上空約5500メートルの気温分布(2月6日朝の予想)

 雨で降ってくるか、雪で降ってくるかの目安の一つに、地上付近の上空約1500メートルの気温があります。

 この上空約1500メートルの気温が、氷点下6度以下なら雪になりやすいと言われますので、降水現象があれば、九州・沖縄を除いて雪として降ります(図3)。

図3 上空約1500メートルの気温分布(2月6日朝の予想)
図3 上空約1500メートルの気温分布(2月6日朝の予想)

 また、氷点下12度というのが大雪の目安ですので、北陸以北の日本海側の地方では大雪の可能性がでています。

冬型の気圧配置の「押し」と「引き」

 冬のシベリア地方では、太陽光がほとんど当たらず、放射冷却によって冷たくて乾燥したシベリア高気圧をつくります。

 相対的に暖かい千島近海からアリューシャン列島南部にかけて気圧が低くなり、日本付近は西のほうで気圧が高く、東の方で気圧が低いという「西高東低の気圧配置」となります。

 「西高東低の気圧配置」は、冬に多い気圧配置なので、「冬型の気圧配置」とも言いますが、大きく分けて「押し」と「引き」の2種類があります。

 西高東低型のうち、シベリア高気圧が強いために等圧線の間隔が狭まり、押し出されるように季節風が吹く場合が「押し」で、長続きする持続型です。

 これに対し、日本東海上の低気圧が発達したために等圧線が狭まり、引き込まれるように季節風が吹く場合が「引き」で、各地に暴風や大雪をもたらす反面、この荒天は一時的なもので、瞬発型です。

 無論、高気圧と低気圧の双方が強い、「押し引き混合型」もありますが、このときは、非常に強い寒気が南下して大荒れとなり、長続きします。

 週明けからの西高東低の気圧配置は「引き」ですので、強い寒気が南下しても長続きしません。

 今週末には、西高東低の気圧配置が崩れ、日本の南岸を低気圧が通過する見込みです。

 冬至のころに比べると、日の入り時刻がかなり遅くなっており、「光の春」を感じておられる方も多いと思います

 梅開花などが春のたよりがポチポチと聞かれますが、気温が高くなって植物が一斉に活動を始める「温度の春」ももうすぐです(写真)。

写真 東京で咲いている梅の花(1月31日に千代田区の気象庁構内で著者撮影)
写真 東京で咲いている梅の花(1月31日に千代田区の気象庁構内で著者撮影)

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

写真:著者撮影。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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