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令和2年(2020年)は太平洋側で初日の出 元旦から新年としていた日本人

饒村曜気象予報士
令和2年(2020年)最初の雲(1月1日0時00分)

令和2年(2020年)正月の天気

 大きな気象災害が相次いだ令和元年(2019年)の大晦日は、オホーツク海で低気圧が発達したため、全国的に暖気が入って気温が上昇しました。

 そして、そのあと西高東低の冬型の気圧配置となって強い寒気が南下するという荒っぽい天気でした(図1)。

図1 予想天気図(1月1日9時の予想)
図1 予想天気図(1月1日9時の予想)

 これは、日本上空に強い寒気が南下してきたからです。

 上空寒気の強さの目安として、よく上空約5500メートルで氷点下30度の気温が使われます。

 令和2年(2020年)年正月寒波では、北陸から関東北部まで上空約5500メートルで氷点下30度以下の寒気が南下してきました(図2)。

図2 令和2年(2020年)年正月寒波(上空約5500メートルの気温、1月2日未明)
図2 令和2年(2020年)年正月寒波(上空約5500メートルの気温、1月2日未明)

 この寒気は、1月2日まで居座る可能性があります。

 北日本では暴風が続きますので、厳重な警戒が必要です(図3)。

図3 暴風警報の可能性(上段:1月1日朝から夜遅く、下段:1月2日)
図3 暴風警報の可能性(上段:1月1日朝から夜遅く、下段:1月2日)

 また、北日本の日本海側から北陸では降雪が続き、新潟・福島の県境付近では三が日で100センチ以上の降雪となりますので、雪に対しても注意が必要です(図4)。

図4 三が日の総降雪量(3日21時までの72時間予想降雪量)
図4 三が日の総降雪量(3日21時までの72時間予想降雪量)

初日の出

 昔の話です。インドや日本など太陽を神聖なものと考える人は、太陽が昇るのをもって新しい日の始まりと考えていました。

 御来光は、元日の到来を告げながら登る太陽を拝むことでした。

 元日の夜明けを意味する「元旦」は、特別な意味がったのです。

 日の出の時刻についての情報を伝える多くのサイトがありますので、1月1日の日の出の時間を調べ、東の空を見てみましょう

 寒気が南下し、西高東低の冬型の気圧配置となることは、太平洋側の多くの地方では晴れることを意味しますので、初日の出を見ることができると思います。

 東京では、令和元年(2019年)12月31日の最高気温が16.5度と11月中旬並みの気温となり、その後気温が半日で3度くらいまで急降下しましたが、正月の天気は晴れです(図5)。

図5 東京の気温変化(正月三が日はイメージ)
図5 東京の気温変化(正月三が日はイメージ)

 寒いのですが、初日の出を見ることができるでしょう。

 そして、東京の令和2年(2020年)の三が日は、最高気温でも10度くらいという寒い三が日になりそうです。

時間帯の名称

 日本は太陽を神聖なものと考え、夜明けをもった新しい日と考えていましたが、そう考える人だけではありません。

 キリスト教やイスラム教など月を神聖のものと考える人は、夜がきたのをもって新しい日の始まりと考えていました。

 キリストが生まれたとされる12月25日の一日は、今でいう12月24日のイブニングから25日の日暮れまでで、クリスマスイブが盛大な理由とも言われています。

 これに対し、いろいろな人が暮らしていた古代ローマでは、多くの人が納得できる日没と日の出の中間をもって、一日の始まりと考えていました。

 そして、夜をおおよそ3時間ごとの4つの時間帯に分け、「一日も遅くなってから」、「真夜中」、「おんどりの鳴くころ」「朝早く」と名付けていたといわれています。

 気象庁では、防災に係る用語について一般利用者の目線に立った明確さ、平易さ、聞取りやすさのため、天気予報や気象情報、解説等で用いる「予報用語」を定めています。

 予報用語のうち、時間帯に関する用語は、平成19年4月からそれまでの用語を少し変え、18時~21時を「夜のはじめ頃」、21時~24時を「夜遅く」、日付が変わった00時~03時を「未明」、03時~06時を「明け方」としています(図6)。

図6 気象庁が天気予報で使う夜の区分と古代ローマ人の夜の区分
図6 気象庁が天気予報で使う夜の区分と古代ローマ人の夜の区分

 気象庁の用いる予報用語の時間帯を比べると、言葉のイメージからだけですが、私たちは古代ローマ人より宵っ張りの感じがします。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図6の出典:気象庁資料を基に著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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