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台風19号伊豆半島上陸 台風が過ぎても洪水の危険

饒村曜気象予報士
台風19号の雲(10月13日3時00分)

台風上陸

 大型で強い台風19号が、10月12日19時前に静岡県の伊豆半島に上陸しました。

 令和元年(2019年)は、これまで4個の台風が上陸しており、平年の上陸数(2.7個)の約2倍の5個目の上陸となります。

台風6号 7月27日7時に三重県南部に上陸

台風8号 8月6日5時頃に宮崎県宮崎市付近に上陸

台風10号 8月15日15時頃に広島県呉市付近に上陸

台風15号 9月9日5時前に千葉県千葉市付近に上陸

台風19号 10月12日19時前に静岡県伊豆半島に上陸

 台風19号は加速し、足早に三陸沖ヘ進み、まもなく温帯低気圧に変わる予報です(図1)。

図1 台風19号の進路予報(10月13日3時の予報)
図1 台風19号の進路予報(10月13日3時の予報)

台風の進路予報は最新のものをお使い下さい。

 台風19号は、台風が上陸する寸前に北からの乾燥した空気の流入で形が崩れ、南側の雨雲がなくなったことから、台風通過後の雨は比較的少なくなっています。

 とはいえ、台風前面には分厚い雨雲を伴っており、この雨雲が東寄りの風によって伊豆半島から関東西部の山地に吹き付け、昭和33年(1958年)の狩野川台風のように、伊豆半島から関東の西部の山地では、記録的な大雨が降っています

 ただ、狩野川台風に比べると、やや北側を通ったことから、東京23区や千葉県など関東の南岸では、狩野川台風よりは少ない雨でした。

台風19号の大雨特別警報

 台風19号による雨は、神奈川県箱根で1000ミリを超えるなど、伊豆半島から関東西部の山地では600ミリを超えています(図2)。

図2 台風19号の総降水量(10月11日2時から13日2時までの48時間雨量)
図2 台風19号の総降水量(10月11日2時から13日2時までの48時間雨量)

 平年の10月の雨量が、半日で降ったというところも少なくありません。

 気象庁では、10月12日15時32分に群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県に大雨特別警報を発表しました。

 そして、19時50分に、茨城、栃木、新潟、福島、宮城の5県でも発表となりました。

 これで、12都県で大雨特別警報が発表となりました。

 前年の「平成30年(2018年)7月豪雨(通称は西日本豪雨)」のときの11府県での特別警報発表を上回り、過去最多の発表となっています。

 その後、台風の通過に伴い、静岡県など南に位置する都県から順次、大雨特別警報は大雨警報に切り替えとなっていますが、10月13日0時40分には、岩手県でも大雨特別警報が発表となっています。

 つまり、台風19号によって、13都県で大雨特別警報が発表となったのです。

洪水の危険性

 北日本は、台風19号による豪雨がしばらく続きますので、引き続き厳重な警戒が必要です。

 東日本からは加速して足早に去りますが、上流の雨が流下してきますので、東日本では洪水の危険性はこれから高まります(図3)。

図3 洪水警報の危険度分布(10月13日2時30分現在)
図3 洪水警報の危険度分布(10月13日2時30分現在)

 洪水警報の危険度分布は、最新のものをお使い下さい

 国土交通省や都道府県と気象庁が共同で発表している指定河川洪水予報では、多摩川など、多くの河川で、5段階の警戒レベルの中で一番危険度が高いレベル5(図3の黒で塗りつぶしてある河川)である氾濫発生情報が発表されています。

 台風通過後の晴天下でも、川の水がどんどん増して洪水になることがあります。

 上流に降った雨が流れてくるからです。

 洪水予報の入手につとめ、警戒を継続してください。

タイトル画像、図1、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページの図に著者加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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