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記録的な暑さはおわっても暑い春

饒村曜気象予報士
令和元年(2019年)5月26日14時の推計気温分布

記録的な暑さ

 令和になってから暖かい日が続いています。

 中国大陸で温められ、乾燥した空気が流入した5月26日は、北海道を中心として記録的な高温となりました。

 大雪山系の山越えの風が吹き降りた北海道東部やオホーツク海沿岸では、フェーン現象も加わって、軒並み猛暑日(日最高気温が35度以上の日)となっています(タイトル画像参照)。

 オホーツク海沿岸の佐呂間では39.5度を観測し、5月としての日本記録を観測しました。

 5月の最高気温のランキングは、これまで埼玉県秩父の37.2度が第一位でしたが、佐呂間を含めて、北海道の18地点がこれを抜いています(タイ記録が2地点、表)。

表 5月の最高気温ランキング(秩父以外は令和元年(2019年)5月26日)
表 5月の最高気温ランキング(秩父以外は令和元年(2019年)5月26日)

 また、帯広では38.8度を観測したのですが、帯広においては、5月として第1位というだけでなく、年間を通しても第1位です。

 120年以上観測が残されている帯広において、真夏よりも暑いという記録が5月にでたのです。

 5月26日の真夏日(最高気温が30度以上の日)の観測地点数は、アメダスで気温を観測している926地点の約60%の556地点、夏日(最高気温が25度以上の日)は約96%の889地点もありました(図1)。

図1 平成になってからの猛暑日・真夏日・夏日の観測地点数
図1 平成になってからの猛暑日・真夏日・夏日の観測地点数

 このため、各地で最高気温に関する新記録が続出しています。

 例えば、東京も最高気温が32.6度となり、5月の記録を更新しました。5月の東京の真夏日(最高気温が30度以上の日)の連続日数も4日と新記録です。

暑さはいつまで

 5月28日は日本列島を寒冷前線の南下や、南岸低気圧の通過によって雨が降り、気温が下がりました。

 記録的な暑さは一服となりましたが、下がったといっても、平年並の気温です。

 また、これから、6月1日、4日、7日と短い周期で本州南岸を低気圧が通過する見込みです(図2)。

図2 雨量分布予想図(6月1日朝の12時間雨量分布)
図2 雨量分布予想図(6月1日朝の12時間雨量分布)

 このため、5月26日のような記録的な暑さには、しばらくなりませんが、これらの低気圧の通過後に寒気が大きく南下することはなく、気温が下がっても平年並です(図3、図4)。

図3 東京の令和の最高気温と最低気温(5月29~6月4日は気象庁、6月5~7日はウェザーマップ)
図3 東京の令和の最高気温と最低気温(5月29~6月4日は気象庁、6月5~7日はウェザーマップ)
図4 札幌の令和の最高気温と最低気温(5月29~6月4日は気象庁、6月5~7日はウェザーマップ)
図4 札幌の令和の最高気温と最低気温(5月29~6月4日は気象庁、6月5~7日はウェザーマップ)

 そして、低気圧と低気圧の間は、晴れますので、日射で気温が上昇します。

 5月の高温は、夏の暑さに慣れていない体には負担が大きいものです。

 こまめに水分をとったり、休養を十分にとったりするなど、早めの熱中症対策が必要です。

 と同時に、紫外線対策も必須です。太陽高度が一番高くなる夏至が近づきましたので、紫外線がすでに強くなっているからです。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図3、図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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