体感的にも、実質的にも記録的な猛暑 北海道帯広では5月に年間最高気温
日本に影響する気団
水平方向に数千キロメートルくらいにわたって気温や水蒸気がほとんど一様な空気の塊を気団と言います。
気団は、風の弱い低緯度でできると高温の気団に、風が弱い高緯度でできると低温の気団になります。
また、海洋上でできると湿った気団、大陸上でできると乾いた気団になります。
日本に影響する気団は5つで、それぞれの気団におおわれているときは、その気団特有の性質をもった高気圧によって、似たような天気が続きます(図1)。
シベリア気団におおわれれ、寒い日が続いていた冬は、春になると揚子江気団におおわれ、移動性高気圧(揚子江高気圧)や低気圧が周期的に通過するようになります。
その後、オホーツク海気団におおわれて梅雨となり、梅雨が明けると小笠原気団である太平洋高気圧におおわれて夏になりますが、ときどき、台風に伴って赤道気団が北上してきます。
これが一般的な季節変化です。
しかし、令和元年(2019年)の春は、少し事情が違います。
大陸育ちの暖かくて乾燥した揚子江気団高気圧におおわれ続けていますので、湿った空気を運ぶ低気圧が周期的に通過しません。
雲が少ないために強い日照で気温が上昇し、暑い春となっています。
湿っている太平洋高気圧におおわれている真夏の暑さとは違い、乾いた揚子江高気圧に覆われている暑さですので、夏の猛暑よりは過ごしやすいともいえますが、冬が終わってすぐの暑さです。
記録的な暖かい春(暖春)となっていますが、体感的には、真夏の猛暑以上の厳しい暑さです。
暑さに慣れていない時期に真夏並の高温となるため、水分補給など暑さ対策をとり、熱中症などの健康管理に注意してください。
夏日の急増
令和元年(2019年)5月は、周期的に気温の高い日があり、5日、11日、17日と、全国で気温を観測している926地点の約半数で夏日(最高気温が25度以上の日)となっていました(図2)。
5月25日(土)になると、全国の8割以上の地点で夏日、4割以上の地点で真夏日(最高気温が30度以上の日)となりました。
また、大分県竹田で35.0を観測するなど、今季全国で初めての猛暑日(最高気温が35℃以上の日)が観測されました。
5月26日(日)は、前日までに暖められた空気がさらに暖められますので、気温は前日よりあがります。
気象庁の最高気温の予想では、北海道の北見と福島県の福島で36度など、全国13地点で猛暑日の予想となっており、真夏日を観測する地点数、夏日を観測する地点数も、前日より増加する見込みです(表)。
東京の最高気温の予想は33度ですが、これは、平成27年(2015年)5月31日に記録した東京の5月の最高気温の記録32.2度を上回る予報です。
そして、144年間の観測で、5月に真夏日となるのは全体の0.6パーセントであり、5月に3回の真夏日となると3回目といえます(図3)。
5月で真夏日が連続となると、2日連続が最長でしたので、3日連続となると新記録です。
追記(5月26日12時):
北海道帯広では、5月26日12時の段階で、朝に発表した最高気温の予想を上回り、気温が38.3度まで上昇しています。
これは5月としての第1位のみならず、120年以上の観測がある帯広で、これまでの記録37.8℃(大正13年(1924年)7月12日)を上回ります。5月なのに、真夏の記録を更新するという記録的な暑さです。
火曜日まで続く暑さ
令和元年(2019年)5月の記録的な暑さは、西日本では27日(月)まで、東日本は28日(火)まで続く見込みです(図4)。
東京の5月の真夏日は5日連続となるまで記録が延びそうです。
週明けは、東シナ海に前線ができはじめ、本州の南岸を低気圧が通過して雨が降る予報です(図5、図6)。
ただ、この雨は長続きせず、沖縄・奄美地方以外の梅雨入りは、今月はなさそうです。
図1の出典:著者作成。
図2の出典:ウェザーマップ資料より著者作成。
図3の出典:気象庁資料より著者作成。
図4、図6、表の出典:ウェザーマップ提供。
図5の出典:気象庁ホームページ。