Yahoo!ニュース

西日本は平成惜別の「昭和の日」の雨

饒村曜気象予報士
目黒川沿いの道(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

4月の夏日

 平成31年(2019年)4月22日は移動性高気圧に覆われ、南からの暖気流入と強い日射により各地で気温が上昇しました。

 このため、東京で最高気温が25.6度など、気温を観測している全国926地点の約3分の1にあたる305地点で、最高気温が25度以上という夏日になりました。

 20日ほど前には、最低気温が氷点下となる冬日が過半数であったことを考えると、平成最後の月は、「季節が冬から夏に変わった月」ともいえるでしょう(図1)。

図1 平成31年(2019年)4月の夏日と冬日の推移
図1 平成31年(2019年)4月の夏日と冬日の推移

 東京の最低気温と最高気温の推移をみても、4月26~27日については誤差幅が大きいのですが、このまま平年並みか平年より高い気温で平成が終われそうです(図2)。

図2 東京の4月から5月の最高気温と最低気温の推移(4月23~29日は気象庁、4月30日~5月2日はウェザーマップの予報)
図2 東京の4月から5月の最高気温と最低気温の推移(4月23~29日は気象庁、4月30日~5月2日はウェザーマップの予報)

平成惜別の雨

 平成最後のまとまった雨は、西日本では「昭和の日」の4月29日になりそうです。

 前線を伴なった低気圧が九州南部を通過する見込みで、九州南部では、まとまった雨になりそうです(図3)。

図3 降水量分布の予想(4月29日夜)
図3 降水量分布の予想(4月29日夜)

 「昭和の日」は、平成19年1月1日施行の改正祝日法で新設された祝日ですが、それまでの4月29日は「みどりの日」で祝日でした。

 青葉若葉を成育させる、平成惜別の雨になりそうです。

 西日本に平成惜別の雨をもたらす低気圧は、本州南岸を離れて通過するため、東日本は、低気圧通過後に大気不安定で生じる雨が、平成惜別の雨になりそうです(図4)。

図4 降水量分布の予想(4月30日夜)
図4 降水量分布の予想(4月30日夜)

 一方、沖縄地方では、平成の終わりから令和にかけて、前線による雨の日が続くようになります。

 沖縄の梅雨入りの平年は5月9日、最も早かったのは昭和55年(1980年)の4月20日ですので、「平成最後の梅雨入り」となってもおかしくありません。

 平年通りであれば、沖縄は「令和最初の梅雨入り」となります。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事