暖かい3月の催花雨(菜花雨)と菜種梅雨
催花雨(さいかう)
日本列島を低気圧が周期的に通過し、植物の開花を促すような雨が降っています(図1)。
この時期の、気温が高い時の雨は「催花雨(さいかう)」、あるいは「菜花雨(さいかう)」と呼ばれ、植物の開花を促すという意味があるそうです。
2月前半は、強い寒気が南下して気温が低い日も多くなりましたが、2月後半からは気温が高い日が続きました。
3月も最高気温は寒気が南下したときに低くなりますが、低くなって平年並みです。そして、最低気温は平年より高い日が続く予報です(図2)。
また、気象庁は異常天候早期警戒情報を発表し、関東甲信地方を除く全国に対して、3月初めの高温に対する警戒を呼び掛けています(図3)。
関東甲信地方は、異常天候早期警戒情報の対象となるほどの高温ではないと判断されましたが、この情報を発表した2月28日時点において、1週間程度は気温の高い状態が続き、今後1週間程度も気温の高い状態が続く見込みでした。
つまり、3月は全国各地で気温が高い状態でスタートし、催花雨もあって、さくらなどの花の開花が早い春になりそうです。
さくらの開花
冬の終わりになると、気象予報会社は「さくらの開花予報」を発表します。
対象となるさくらの木が違う、予報の仕方が違う、発表の仕方が違うなどで、単純には比較できないのですが、ウェザーマップ社では、図4のような予報を発表しています。
これによると、今年のさくらは平年より早く咲く所が多くなりそうで、福岡では3月17日、東京では3月22日の見込みです。
しかし、記録的に早かった昨年、平成30年(2018年)よりは遅くなる見込みです。
さくらの開花は、暖かい日が続いただけでは極端に早くはなりません。
真冬に厳しい寒さに晒された後の暖かさによって、休眠打破と呼ばれる現象がおき、さくらの開花が加速しますが、今冬のように、暖冬のあとの暖かさは、休眠打破が鈍くて開花の加速がありません。
つまり、暖かさが続いた場合は早く咲きますが、寒さを経験したあとの暖かさによる極端な早さには、かなわないからです。
菜種梅雨
3月中旬から4月上旬にかけて、梅雨時のように長雨が続くことがあります。
菜の花(アブラナ)が咲く頃に降る長雨ですので、菜種梅雨と呼ぶことがあります。
各地の10日間天気予報をみると、3月6日以降、雨の日が多くなっています(図5)。
ひょっとしたら、例年より少し早めですが、関東や西日本の太平洋側に前線が停滞し、菜種梅雨になるかもしれません。
植物の開花を促す雨の季節の到来は、雨による災害の季節がそろそろ始まることを意味していますので、早め早めの雨対策が必要です。
図1、図3の出典:気象庁ホームページ。
図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。
図4、図5の出典:ウェザーマップ提供