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グアム島へ台風2号が発達しながら接近中 台風の強度予報は来月から延長

饒村曜気象予報士
南の海の夕焼け(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

台風2号が発達しながら北上中

 台風2号は、台風が発達する目安とされる海面水温が27度以上の海域を北上してグアム島に接近中です(図1)。

図1 72時間先の台風2号の強度予想(2月23日6時観測の予報)と海面水温
図1 72時間先の台風2号の強度予想(2月23日6時観測の予報)と海面水温

 2月は海面水温が高いのは、台風が発達しにくい低緯度だけですので、台風が発生すること自体が珍しいことです。

 過去にグアム島から180カイリ(約300キロメートル)以内に接近した発達について調べたことがありますが、グアム島の台風シ-ズンは7月から11月です(図2)。

図2 グアム島に接近する台風
図2 グアム島に接近する台風

 グアム島の台風シーズンは、日本より遅く、11月でも台風シーズンで、12月の台風もないことはありません。

 しかし、2月の接近は非常に珍しいことです。

 ちなみに、グアム島に台風が接近する方向は、ほとんどが東から南東で、台風2号のように南からの接近は、13%です。

台風の強度予報は現在は3日先まで

 台風が発達するかどうかという強度予報は、台風の進路予報に比べて難しい予報です。

 このため、気象庁では、台風の進路予報は5日先まで行っていても、台風の強度予報は3日先(72時間先)までしか行っていません。

 従って、台風2号の5日先の台風予報は、予報円しか表示されていません(図3)。

図3 台風2号の5日先の予報(2月23日6時の予報)
図3 台風2号の5日先の予報(2月23日6時の予報)

 しかし、台風予報技術の進歩から、今年、平成31年(2019年)3月14日以降、気象庁は台風の強度予報を5日先まで延長することとしています。

 現在では、台風が発達しながらグアム島の西海上を北上するとしか予報にありませんが、3月14日以降であれば、台風2号が海面水温が27度以下の台風が衰弱する海域に入って、どれくらい衰弱して北上してくるのかという予報が発表されることになります。

 台風の5日先までの進路予報誤差は、5日先までの進路予報が始まった平成21年(2009年)当時は500キロもありましたが、現在は400キロメートルです。

 予報円の大きさは、進路予報誤差にほぼ対応していますので、10年間で2割も小さくなったことになります。

 このような台風進路予報技術の向上をうけての、台風強度予報の5日先までの延長です。

図4 台風進路予報の年平均
図4 台風進路予報の年平均

追記(2月23日18時)

 台風2号は、2月23日15時に、非常に強い台風に発達し、台風の眼がはっきりわかるようになりました(図5)。

図5 台風2号の眼(2月23日15時)
図5 台風2号の眼(2月23日15時)

図1、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。

図3、図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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