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予報に幅がある台風24号の動きと秋雨前線

饒村曜気象予報士
台風24号の雲(平成30年9月23日16時00分)

台風24号の発生

 トラック諸島で、9月21日に台風24号が発生しました。台風が多く発生していた真夏の頃に比べ、台風発生がより低緯度となっています。

 一般的に、低緯度で台風が発生するようになると、日本接近の可能性が小さくなりますが、その反面、日本に接近する場合は、接近までの時間が長くなりますので、十分発達してから日本に接近することになります。

 台風の発生数、上陸数ともに8月のほうが9月より多いのに、台風シーズンというと9月というイメージがあります。これは、9月は十分に発達した台風が北上してくることに加えて、秋雨前線を刺激して大雨となり、大災害が発生した苦い教訓が多いからです。

 現在、フィリピンの東海上に強い台風24号があって、速度をやや落としながら、そして発達しながら西へ進んでいます。現時点の可能性は、このまま西へ進んで台湾から中国大陸に向かう可能性が7割、今後停滞するが可能性が1割、日本に接近する可能性が2割です。

 予報幅が非常に大きく、北上して日本に影響を及ぼす可能性もありますが、その場合は、日本付近にある秋雨前線を刺激して大雨となることも考えられます(図1)。

図1 予想天気図(9月25日9時の予報)
図1 予想天気図(9月25日9時の予報)

10日間予報

 三連休後半は、秋雨前線が本州の南海上まで南下したことで、ほぼ全国的に晴れの所が多かったのですが、連休明けは、秋雨前線が東の方から北上し、関東地方を中心に雨となる見込みです(図2)。

図2 週間天気予報
図2 週間天気予報

 週中頃は秋雨前線が弱まってほぼ全国的に晴れますが、週の後半になると、秋雨前線が再び強まってほぼ全国的に雨となる見込みです。

 台風24号の最新の進路予報の入手につとめ、北上の可能性が出てきたら、早めの防災対応をお願いします(図3)。

図3 台風24号の進路予報
図3 台風24号の進路予報

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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