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台風14号が沖縄へ 今年は台風が発生する緯度が高い

饒村曜気象予報士
沖縄に接近する台風14号の雲(8月9日18時)

台風14号が沖縄へ

 日本の南海上にある台風14号は、やや発達しながら自転車並みの速度で週末の沖縄に接近する見込みです。沖縄では暴風や大雨、高波などに警戒が必要です。

 また、台風縁辺の暖湿気流が流入する西日本や東日本でも、大気が不安定となって局地的な大雨や落雷、突風の可能性があります。さらに、太平洋沿岸では台風によるうねりが入ってきます。

 台風が東シナ海に入った後の予報は現段階では非常にむつかしいのですが、転向して朝鮮半島を通過し、北日本に接近することも考えられます。台風の進路によっては影響する地域、影響の度合いが違いますので、最新の台風情報に注意してください(図1)。

図1 台風14号の進路図
図1 台風14号の進路図

台風の進路については、最新のものをお使いください

台風の発生緯度

 台風が発生しやすい緯度は、北緯15度から20度の間で、全台風の30%強が発生しています。次に多いのが10度から15度の間で30%弱の台風が発生しています(図2)。

図2 緯度別の平均台風発生数(1951~1977)
図2 緯度別の平均台風発生数(1951~1977)

 台風は、温かくて湿った空気を集め、そこに含まれている水蒸気が水滴に変わるときに出る熱(潜熱)を取り出して、これをエネルギー源として発達したり、勢力を維持したりしています。このため、温かくて湿った空気が多い熱帯の海上(海面水温が27度以上の海上)でしか台風は発生しません。

 熱帯低気圧と呼ばれる所以でもあります。

 ただ、赤道付近では台風は発生しません。赤道に近くなればなるほど地球の自転の影響を受けにくくなることから渦を巻きにくくなり、効率的に水蒸気を集めて熱を取りだしにくくなるからです。

 これに対し、緯度が高いと渦を巻きやすくなりますので、夏になり、海面水温が高くなった亜熱帯の海上でも台風が発生するようになります(図3)。

図3 緯度別・月別の台風発生数(1951~1977)
図3 緯度別・月別の台風発生数(1951~1977)

今年の台風の発生緯度

 今年、平成30年(2018年)は、現時点で14個の台風が発生していますが、その発生緯度を見ると、普段の年より高緯度の北緯15度から25度で多く発生しています(図4)。

図4 今年の緯度別台風発生数(台風14号まで)
図4 今年の緯度別台風発生数(台風14号まで)

 図4の丸数字は、今年の台風番号です。

 台風発生の緯度が低ければ、沖縄の南海上を台風が西進するのですが、今年のように沖縄より少し南の緯度で台風が発生すれば、それだけ沖縄近海にやってくる台風が増えます。

 北緯20度前後の日本の南の海上には、発達した積乱雲の塊がいくつもありますので、台風14号だけでなく、新たな台風が発生する可能性もあります。

 台風14号は沖縄近海を通過したあと、東シナ海で転向し、西日本から北日本に影響を与える可能性があります。また、次の台風発生も懸念されます。

 お盆期間は、沖縄地方だけでなく、全国で最新の台風情報等の入手につとめる必要があります。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:「饒村曜(昭和61年(1986年))、台風物語、日本気象協会。」

図4の出典:「饒村曜(昭和61年(1986年))、台風物語、日本気象協会」に加筆。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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