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花粉飛散が多いゴールデンウィークのような暖かさの一週間

饒村曜気象予報士
杉花粉(ペイレスイメージズ/アフロ)

移動性高気圧の通過

 今週は大きな移動性高気圧が通過し、東日本から西日本は晴れて気温が上がります(図1)。

図1 予想天気図(3月13日9時の予想)
図1 予想天気図(3月13日9時の予想)

 移動性高気圧がきたら晴れとは単純ではありません。移動性高気圧がどのようなコースを進むかによっても日本の天気は変わります。

 移動性高気圧が、北緯35度線を西から東に進む場合は全国的に晴天となりますが、北緯35度線より南を東進する場合の晴天は、関東から西の地方だけです。

 今週の移動性高気圧は、北緯35度線より若干南ということで、東日本から西の地方で晴天と考えられます(図2)。ちなみに、北緯35度線より北を東進する場合は北日本だけが晴天ですが、日本海北部から関東地方に進む場合は、全国的に晴天ですが気温は上がらず肌寒い日となります。

図2 移動性高気圧の動きと天気変化
図2 移動性高気圧の動きと天気変化

朝晩の寒暖差が大きい一週間

 西高東低の冬型の気圧配置の日が多く、北から寒気が南下して寒かった2月に比べ、3月は、気温が平年より高い日が多くなっています。週間天気予報によると、今週はゴールデンウィーク頃の気温となっています(図3)。

図3 東京都心部の3月の気温(3月12日以降は週間天気予報による)
図3 東京都心部の3月の気温(3月12日以降は週間天気予報による)

 最高気温の予報の上限をみると24度と夏日(最高気温が25度以上の日)間近ですが、最低気温の下限をみると5度以下と、一日の最高気温と最低気温の差は20度近くになります。

 暖かくなるといっても、朝晩は冷え込みますので、体調管理に注意が必要な一週間です。

暖かくなると花粉と黄砂

 晴れて気温が上がると杉花粉の飛散量が多くなりますので、東日本から西日本は花粉症対策が必要な一週間です。

 移動性高気圧に覆われた春は、黄砂やPM2.5が問題になります。中国大陸で上空に風で舞い上げられた黄砂やPM2.5(大きさが2.5マイクロメートル以下の微小な物質)が、上空の強い西風に乗って日本付近に運ばれ、移動性高気圧の下降流によって地表面付近におりてくるからです。

 今年の中国では、寒い冬だったせいか中国大陸内陸部での黄砂の吹上が遅れており、今回の移動性高気圧では黄砂は飛来しない見込みですが、中国の都市部のPM2.5については多いままですので、九州などへの飛来が心配です。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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