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一般的には春を告げる南岸低気圧だが、続く寒さ

饒村曜気象予報士
大雪(ペイレスイメージズ/アフロ)

長期間の低温

 東日本・西日本では、11月中旬から気温の低い状態が続いていましたが、最近1週間では、北日本・東日本・西日本では顕著な低温となっています。

 そして、今後2週間は、気温の低い状態が続く見込みです。

 ただ、寒気南下が少し弱まる2月1日から2月2日にかけて、南岸低気圧が通過し、東日本の南岸では雪になる見込みです(図)。

図 予想天気雨図(平成30年2月1日21時の予想)
図 予想天気雨図(平成30年2月1日21時の予想)

太平洋側の大雪

 太平洋側の大雪は、南岸低気圧によってもたらされます。

 10日程前の1月22日には、南岸低気圧で東日本の太平洋側で大雪となりましたが、同じようなことが再び起きる可能性があります。

 夕方から夜にかけて降るなど、降る時間帯は似ていますが、低気圧の進路が1月22日に比べて若干南ですので、一般的には、低気圧の中心からの距離が少し長いので雪の量は少なくなります。

 ただ、南岸低気圧による雪の予想は難しく、雨雪判別も難しい予想です。

 最新の気象情報の入手に努め、雪が降る2月1日の夕方の通勤・通学の時間帯だけでなく、雪が止んだあとの2月2日の朝の通勤・通学の時間帯を警戒する必要があります。

春を告げる雪

 一般的には、南岸低気圧による東日本の太平洋側の大雪が降るのは、2月下旬から3月です。

 このため、南岸低気圧による雪は、「春を告げる雪」と言われていました。雪が降っても、零度付近の比較的温かい雪で、すぐに溶け、程なく春を感じさせる気温の上昇があるからです。

 差別的な表現の可能性があるということから、現在は使われていませんが、昔は、南岸低気圧のことを、「台湾から春を告げるお坊さんがやってくる」という意味の言葉がありました。

 しかし、今年の南岸低気圧は、1月22日の雪が所々で残っているところへの2月頭の雪です。

 南岸低気圧通過後は、再び西高東低の冬型の気圧配置となって強い寒気が南下します。今回の南岸低気圧による雪は、「春を告げる雪」とは、言い難い雪です。

図の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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