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大きな予報円の台風22号、土日の沖縄では暴風雨・日曜の東京は大雨警報の可能性「中」

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」の可視画像(平成29年10月27日3時)

大きな予報円

 台風22号が沖縄に向かって北西進し、沖縄近海で向きを東に変える(転向する)見込みですが、この転向のタイミングの推定が非常にむつかしく、大きな予報円となっています(図1)。

図1 台風の進路予報(平成29年10月27日3時)
図1 台風の進路予報(平成29年10月27日3時)

台風の情報については、常に最新のものを入手して下さい。

 例えば、10月27日3時発表の台風進路予報では、2日先(48時間先)の予報円の半径が200キロメートル、3日先(72時間先)では410キロメートル、4日先(96時間先)では650キロメートル、5日先(120時間先)では950キロメートルとなっています。

 予報円の半径は、台風予報の70%が入る大きさで決めていますが、予報結果を検証してみると、台風進路予報の平均誤差とほぼ同じ値になっています。

 台風進路予報の年平均誤差をみると、年による差がありますが、大きく見ると、誤差が年々小さくなっています(図2)。

図2 台風進路予報(中心位置の予報)の年平均誤差
図2 台風進路予報(中心位置の予報)の年平均誤差

 このため、予報円の大きさも小さくなっているのですが、現時点での2日先の台風進路予報の平均誤差は、150キロメートル、5日先の台風進路予報の平均誤差は450キロメートルくらいです。

 つまり、2日先の予報円が150キロメートル、5日先の予報円が450キロメートルくらいなら普通の予報ということができます。台風22号は、2日先は普通の予報といえそうですが、5日先については、平均誤差の約2倍、950キロメートルもあります。予報円の北端と南端でいえば、1900キロメートルという日本列島を包み込む大きな差です。

 台風22号は、予報が難しい台風ですので、常に最新の台風情報に注意が必要です。

警報級の可能性

 気象庁では、今年から警報級の可能性についての情報を発表しています。

 これによると、沖縄本島中南部では、27日(本日、金)には波浪警報を発表する可能性が「高」ですが、28日(土)と29日(日)は、波浪警報と暴風警報を発表する可能性が「高」、大雨警報を発表する可能性が「中」となります(図3)。

図3 沖縄本島中南部の警報級の可能性(平成29年10月26日17時00分発表)
図3 沖縄本島中南部の警報級の可能性(平成29年10月26日17時00分発表)

 なお、ここで「高」とは、「警報を発表中、又は、警報を発表するような現象発生の可能性が高い状況」です。また「中」は、「高」ほど可能性は高くありませんが、命に危険を及ぼすような警報級の現象となりうることを表しています。

 台風22号の予報円が非常に大きく、予報円の中心は本州の南岸を東進し、上陸の可能性が小さくなってきましたが、まだ上陸の可能性も残っているという予報です。そして日本付近の前線活動を活発にさせますので、台風から離れた地方でも大雨の可能性があります。

 例えば、東京地方では、29日(日)に大雨警報を発表する可能性は「中」です(図4)。

図4 東京地方の警報級の可能性(平成29年10月26日17時00分発表)
図4 東京地方の警報級の可能性(平成29年10月26日17時00分発表)

 台風の進路によっては、警報級の可能性がでてきて「中」がでてきたり、発表中の「中」が「高」に変わる可能性もあります。

 沖縄から九州南部は、台風22号の暴風雨に警戒が必要ですが、そのほかの地方でも台風22号と前線の雨に注意です。

図1、図2、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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