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今年は台風の影響がない10月の三連休だが、平成16年には台風22号が三連休を直撃

饒村曜気象予報士
紅葉の季節に旅行をするシニア夫婦(写真:アフロ)

9月の三連休の天気とは違う10月の三連休

 平成29年9月の三連休(16日から18日の敬老の日まで)は、台風18号が九州、四国、本州、北海道の4島全てに上陸し、各地に大きな爪痕を残しています。

 10月の三連休(7日から9日の体育の日まで)は、南岸低気圧が日本の東海上に抜け、移動性高気圧に覆われて、ほぼ全国的に晴れて行楽日和の三連休になりそうです(図1)。

図1 予想天気図(平成29年10月9日9時の予想、気象庁ホームページより)
図1 予想天気図(平成29年10月9日9時の予想、気象庁ホームページより)

10月も台風シーズン

 周囲に比べて気圧がやや低い領域を低圧部といいます。低圧部は中心がはっきりしないので中心の位置を示すことはしていませんが、ここから台風の卵である熱帯低気圧が発生することがります。

 10月の三連休に入ると、フィリピンの東海上にあった低圧部のなかに、はっきりした渦巻きができ、熱帯低気圧が発生しました(図2)。ただ、この熱帯低気圧は、台風に発達することなく西へ進みそうで、日本への影響はなさそうです。

図2 地上天気図(平成29年10月7日21時、気象庁ホームページより)
図2 地上天気図(平成29年10月7日21時、気象庁ホームページより)

 ただ、10月も台風シーズンです。平成16年(2004年)には、台風22号が10月の三連休初日に日本を襲っています。

平成16年の台風22号

 平成16年(2004年)の台風22号は、10月9日(土)に非常に強い勢力で静岡県伊豆半島に上陸しました。上陸時の中心気圧は950ヘクトパスカルで、東日本に上陸した台風と しては、昭和33年(1958年)の狩野川台風の955ヘクトパスカルを抜いて記録となりました。

図3 平成16年10月9日9時の天気図(左)と10日9時の天気図(右)
図3 平成16年10月9日9時の天気図(左)と10日9時の天気図(右)

 過去最大級の台風により、静岡県石廊崎で最大瞬間風速が毎秒67.6メートル、東京で1時間降水量69ミリ、日降水量222.5ミリを観測しました。

 JRの中央線四ツ谷駅と市ケ谷駅の間で土砂崩れが発生し、中央線が一時ストップしました。また、浸水した東京都の下水道工事現場で、作業員1人が水死しました。横浜市では台風の影響で局地的な突風が発生し、トラック約40台が飛ばされるという横転事故も発生しました。

 台風の被害は、関東と岐阜県で死者・行方不明者10名、住家被害200棟、浸水家屋2000棟などでした。

 連休二日目の10日(日)は、台風は日本の東海上に去ったものの、日本海で低気圧が発生したため、曇や雨のところが多く、台風一過の晴天にはなりませんでした。

 連休三日目の11日(月)の体育の日も、日本海と関東沖の低気圧により、東日本と北日本は曇や雨の天気が続いています。東京は、三連休中の日照時間は0時間、つまり、太陽の光を全く浴びない三連休でした。

 台風と低気圧により、各地のレジャー客を期待していた業界に大打撃を与えています。また、この年は相次ぐ台風や長雨の影響で、レタスやキヤベツなどの葉物を中心とした生鮮野菜の値段が2から3倍という状態が続いています。

 台風による災害は、8月、9月だけでなく、数は少なくなるのですが、10月も発生しています。しばらくは、台風情報に注意する必要があります。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページより

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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