海面水温が高い海域の台風5号 衰えずに西日本~沖縄に接近
日本の南海上にある非常に強い台風5号は、海面水温が29度以上の水蒸気が豊富な海域を北上中ですので、あまり衰えずに西日本~沖縄に接近する予報で警戒が必要です。
台風のエネルギー
台風は中心付近の眼をとりまく積乱雲の中で、水蒸気が水になることで生じる熱(潜熱)がエネルギーです。
このため、台風は水蒸気が豊富な場所、つまり海面水温が約26度以上の熱帯の海上で発生・発達します。同じ熱帯でも、陸上では水蒸気が少ないことから台風は発生・発達をしません。
温帯の海上では、夏になり、海面水温が26度以上になってくると水蒸気が豊富になり、温帯の海上でも台風が発生するようになります。
夏になると日本近海で台風が発生するようになります。
筆者が昔、海面水温と24時間後の台風中心気圧の変化についての関係を、重回帰式で求め、気象庁の欧文藁報で発表したことがあります。これによると、発達期の台風は、海面水温が高いほど台風の気圧は下がります(発達します)。衰弱期の台風は、海面水温が高いほど衰弱の度合いは小さくなります(表)。
勿論、台風の発達・衰弱は海面水温だけでは決まりませんので、これは、あくまで、統計的な話です。
台風5号の進路上の海面水温
台風5号は、日本の南海上をゆっくり北上し、西日本から沖縄に接近するという予報です(図1)。
この予想進路は、台風5号が海面水温が29度以上のかなり高い海域を進むという予報でもあります(図2)。
台風5号は、あまり衰えることなく西日本から沖縄に接近の予報となっているのは、海面水温が高いためです。
大東島地方は4日昼頃に暴風域の可能性
台風5号の北上により、沖縄県の大東島地方では、8月4日昼頃に暴風域に入る可能性があります(図3)。
とはいっても、今のところ、暴風域に入る可能性は10%くらいです。
台風は地球の自転の影響でゆっくり北上していますが、台風を大きく動かす上空の風は弱いので、まだまだ台風進路は絞りきれていません。
このため、台風の動きは遅く、予報円も大きいままです。
大きな予報円では使えないという意見もありますが、これが、現在の台風予報の限界で、だからこそ、最新情報でカバーする必要があります。
西日本から沖縄だけでなく、全国で台風情報に注意の一週間です。