アメリカ高級紙が溜飲を下げるように「中国は豊かになることなく、老いている」

中国・上海の繁華街の様子(写真:ロイター/アフロ)

 中国国家統計局は本土の2020年時点での総人口を「14億1178万人」と発表するとともに出生数が記録的な低水準にとどまったことを明らかにした。中国当局が「人口の質は着実に高まっている」と肯定的な解釈を示す半面、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「先進国並みの高齢化」「平均所得は米国などに比べてはるかに低い」と否定的に伝えたうえ「中国は豊かになることなく老いている」とまで表現した。

◇「平均教育年数が増えて非識字率は低下」

 中国国家統計局の寧吉哲(Ning Jizhe)局長は11日開いた記者会見で昨年の国勢調査の結果を発表した。

 香港、マカオ、台湾を除く中国本土の総人口は14億1177万8724人で、2010年の前回調査から10年かけて7205万3872人増えた。年平均増加率は0.53%で、前回(0.57%)より0.04ポイント落ち込んだ。

 一方、出生数は約1200万人で前年比18%減となり、1949年の建国以来最大の落ち込みとなった。一人っ子政策が2016年に廃止され、すべての夫婦が子供2人まで持つことが認められたにもかかわらず、出生数は増えていない。

 年代別では、60歳以上(2億6401万8766人)が14歳以下(2億5338万3938人)を上回った。60歳以上の割合は18.7%で、前回(13.3%)より上昇するとともに、生産年齢人口(15~59歳)の割合は63.4%で前回(70%超)から下落しており、急速な高齢化進展を裏付けている。

 中国では、深刻な食料不足に陥った大躍進運動により餓死者が相次いだ1960~61年を除いて人口は増加を続けてきた。ただ急速な少子高齢化により、今後数年で人口減少に転じるとの観測もある。

 こうした結果を発表しながらも寧局長は次のような積極的な意味を持たせた。

「総人口の増加率は鈍化しているものの、安定した成長を維持し、依然として世界で最も人口の多い国だ」

「平均教育年数が増え、非識字率も低下し、人口の質が向上し続けている」

「出生時の比率は女児100に対して男児111.3となり、前回調査より6.8低下して改善が進んでいる」

◇「これは長期的な時限爆弾だ」

 中国側の発表に対し、NYTは厳しい見方を次々に記している。

 出生数の減少や労働力の高齢化が「中国政府の野望を困難にする可能性がある」と見通しつつ「中国共産党にとって最も深刻な社会的・経済的課題の一つだ」と位置づけた。

 さらに「こうした数字は『人口の危機』にさらされていることを示している」「これは世界第2位の経済大国の成長を妨げる可能性がある」と指摘。「中国は先進国並みの高齢化の難題に直面しているのに、平均所得は米国などと比べると、はるかに低い」と批判したうえで、次のように表現した。

「つまり、中国は豊かになることなく老いているのだ」

 中国の最大の強みは世界最大の人口だ。数十年もの間、低賃金で働く若い労働者を制限なく確保して経済成長の原動力としてきた。ところが近年、その労働者が不足し、人件費も上昇している。

 また、婚姻率が低下する一方で離婚率が上昇し、成人の独身者は2億4000万人、日本の人口の倍にも達するといわれる。若い世代の多くが、子育てに必要な費用に尻込みする。人口増加のために移民に頼ることもないようだ。

 人口問題の専門家である梁建章(Liang Jianzhang)北京大教授はNYTの取材に「中国は、類を見ない人口の難題に直面している。それは世界で最も緊急かつ深刻なものだ」と危機感を募らせ、「これは長期的な時限爆弾だ」と警告した。